GenesisQ’

Episode:16C





「それじゃみなさん」
 かんぱーいっと全員でグラスを上げた、中身はジュースだ。
 2階の大部屋、ここは娯楽室となった。
「んー、まあこんなもんやろなぁ」
 36型ワイドビジョンなど、オーディオ関連は全てここに持ちこまれている。
「うう…、僕のコンポが…」
 抱きついているシンジ。
「まったくもぉ、あたしのラジカセ貸してあげるから我慢しなさいよ」
「やだよぉ、音が全然違うのにぃ」
 やたら耳の肥えてるシンジ。
「あんたバカぁ?、それじゃあたし達の頭の上でずんどこやるつもりだったの?」
「そだねぇ、シンちゃんのコンポって重低音けっこう響くもんねぇ」
「それがいいのにぃ…」
 恨めしそうに見る。
 二人とも罪悪感から顔を背けた、実は前から狙っていたのだ。
「ねえ、そう言えばミズホは?」
「はーい、ここにいますぅ!」
 大きなお盆の上に、料理を乗っけてやってきた。
「みんなお待たせー!」
 ヒカリも一緒だ。
「それや!、わしはそれが楽しみで来たんやー!」
「はやくっ、はやくっ、はやくっ、はやくぅ!」
 レイも一緒に喜んだ。
「うう、酷いや…」
 忘れ去られるシンジ。
「うおー、腹へったでぇ!」
 ごろごろと転がる。
「もう!、いやしいんだから…」
 苦笑するヒカリ。
「もうちょっと待ちなさいよね、まだまだいっぱいあるんだから」
「良かったね鈴原君!」
「ほんまやぁ!、生きててよかったわ〜」
 レイと本気の涙を流してる。
「二人ともいい勝負ね…、相田のバカは?」
「ここにいるよ」
 カヲルが引きずって持ってきた。
「何やってたかあえて聞かないわ」
「ま、聞かんでもわかるわ」
「覗き穴開けようとしてたとか?」
 ギクッとするケンスケ。
「ケンスケぇ〜、僕は友達として情けないよぉ」
「他に隠しカメラやマイクを仕掛けてたんでね、全部外しておいたよ」
「ああ、今日一日の努力と苦労が…」
「泡と消えたね」
 放り出す。
「夢はついえた〜」
 号泣するケンスケ。
「ほらほら、みんな早く席につかないと冷めちゃうわ」
 ユイが最後の料理を持ってきた。
「あ、シンジ悪いんだけど、下からジュースの入った箱を持って上がってくれないかしら?」
「あ、うんわかったよ」
「ほら!、いつまでも泣いてないで、あんたも手伝ってきなさいよ!」
 蹴り飛ばされるケンスケ。
 一瞬の殺意、メガネが光った。
「じゃ、行こうかケンスケ」
 シンジはそれに気づかなかった。






「よぉ、シンジこれフタ開いてるぞ?」
 といってジュースをコップに注いで飲む。
「ちょっとケンスケ、後にしなよぉ」
「なんだよ、自分はこれからバラ色のハーレム生活が待ってるからってさ、少しは付き合えよ」
「もぉ、酔っぱらいじゃないんだから…」
 と言いつつ飲む。
「…ちょっと苦いね」
「そっか?」
 どこか白々しい。
「あ、シンジ様…」
 キッチンを覗き見るミズホ。
チャーンス先行ってるぞシンジぃ」
「あ、うん、どうしたのミズホ?」
「あの…」
「あ、そうだミズホ、さっきのケーキ、おいしかったよ」
「ふえ?、もう食べられたんですかぁ?」
「うん、さっきこっそりとね」
 ペロっと舌を出す。
「ありがとうね、ミズホ、でも…」
「うえ?、なんですかぁ〜?」
 不安顔。
「もしかして、お口にあいませんでしたかぁ?」
「あ、ううん、違うんだ、大変だっただろうなと思っただけだよ」
 ぶんぶんと首を振る。
「そんなことありません〜」
「ホント?、でもちょっとは大変だったんでしょ?」
「えっと、えっとえっと、ちょっとだけ…」
「やっぱり、嬉しいな…」
 いつもと違う表情を見せる。
「えっ、えっ、えっ!?」
「だって、僕のために一生懸命…、嬉しいよ、ミズホ」
「し、シンジ様?」
 シンジが一歩踏み出した。
「ホントはミズホの前で食べてあげたかったんだけど、アスカ達怒るから…」
「いいですぅ、シンジ様が食べてくだされば、どこでだって!」
 シンジの目が微妙にうるんでいた。
 胸の前で手を合わせるミズホ、その手が自分とシンジの胸に挟まれた。
「し、シンジ様!」
 倒れこむ二人、シンジがミズホへと覆い被さった。
「ふ、ふえーん、でもでも、うえええですぅ!」
 パニクるミズホ、床の上には何故か焼酎の瓶が転がっていた。






「おーい、みんなジュース持ってきぞぉ」
「おっそいのよ、シンジは?」
「下で信濃といちゃついてる」
「ぬわんですってぇ!、バカ!、どうして二人っきりにしたのよ!!」
 どたどたと慌ててく。
「あら、ごめんなさいね、シンジったら…」
「いいんです、いいんです」
 ニヤリと思わず口元が歪んだ。
「綾波なにやっとのやぁ?」
「あ、うん、お父さまがビデオ録っておいてくれって言ってたの」
 ビデオのタイマー予約をしている。
「なんや、なにやんねん?」
「さあ?、7時からだから…、もうすぐだよ、見る?」
 と言ってスイッチオン、席に戻る。
 座席はヒカリ、トウジ、ケンスケ、カヲル、ユイ。
 反対側にアスカ、レイ、シンジ、ミズホとなっていた。
「ふえー、もうこのバカシンジがぁ!」
 肩をかして連れてきた。
「あれ?、シンちゃんどうしたの」
「酔ってんのよこのバカ、何考えて酒なんて飲んだんだか」
 後ろからミズホが入ってきた、顔が赤い。
「ミズホも飲んだの?」
「あ、え?、ちょっとだけ…」
 ごまかす。
 ミズホのセリフに被るように、テレビから軽快なオープニング曲が流れてきた。

 おっでこひっろびーろ♪
 おっ髭ちっくち〜く♪
 そーれがどうした?
 僕どらエヴァン…

「な、なんやこれ?」
「あ、これおじ様にそっくりですぅ!」
「っていうか、どう見ても小さい頃のシンちゃんとアスカにそっくりだし…」
「そ、そんな…」
 シンジがテレビに張り付いた。
「そんな、僕てっきり父さんは会社で普通のサラリーマンしてるんだって信じてたのに…」
 作画監督の所を注視した。
「そんな、そんなぁ!、父さんが、父さんがそっち関係の人だったなんて!、裏切ったんだ、僕の理想を裏切ったんだね!、父さん!」
「酔ってる酔ってる」
「シンジ?」
「ぐす…、なに?、母さん」
「声優の所も見てみなさい?」
 どらエヴァンにはゲンドウが声を当てていた。
「そんなのいやだあああああああああああ!」
 転がり回る。
「繊細なんだね、シンジ君は」
「うう、カヲルくぅん!」
 カヲルが膝を貸した、そこで泣くシンジ。
「まったく、何やってんだか…」
「まあまあ、ほら惣流、ジュース」
「あんがと」
 くいーっとヤケ気味に飲みくだす。
「おー!、良い飲みっぷりやのぉ」
「アスカ下品…」
 ちょこちょことおかずをつまんでいるヒカリ。
「あ、これおいしい、これおばさまが作られたんですよね?」
「ええ、でも洞木さんの肉だんごのあんかけもおいしいわ」
「ほんとですかぁ?」
「どれわしも…」
「ああほら鈴原、あたしのあげるから…」
「あ、あげるてなんや!」
 はい、あーんっときた。
「い、委員長!」
「ヒ・カ・リ・でしょ?」
 目がうるんでる。
「あらあら、おばさんお邪魔かしらね?」
「ち、ちゃいます!、こら何やっとんのや委員長…って、酒臭いで!」
 もたれ掛かってくる。
「うん…、なんだか体が熱くて…」
「なんや、なんでそないな目でワシを見んのや!」
「鈴原ぁ〜」
「くす、じゃあおばさんは退散するから、後は若い人たちで楽しんでね?」
「って、待ってください!、おばさんおらんと誰が理性と良心になってくれるんですかぁ!?、おばさぁん!」
 うふふふふふふふふーっと謎の微笑みを残して、ユイは退場した。







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