NEON GENESIS EVANGELION

Genesis Q':1E







 打ち上げが始る、ラステーリがおわびにとホテルのレストランを予約、すぐに酒が回り、ただの酔っぱらい集団と化すのにそう時間はかからなかった。
「おいおい、一応先生がいるんだからな」
「いいじゃな〜い、無礼講よぉ加持ぃ、どうしてそうかたいのよ〜〜〜」
 一番酔っているのはミサトかもしれない。
 シンジはラステーリと共にロビーにいた、アスカに飲まされそうだったので、逃げてきたのだ。
「カイザーもお酒、ダメなんですか?」
「まあね、だからリョウジみたいにもてないのさ」
 ウィンクしてミルクをあおる。
「ラステーリからカイザーか、やっぱり自信がつくと呼び方が変わるね」
 シンジは赤くなって、上眼使いにラステーリを見た。
「いや、そんな…ちがいます、思い出したんです」
 楽しそうに喋らせるラステーリ。
「昔…たぶん幼稚園の頃だとおもいますけど、お会いしたことがありますよね?」
「そう、たった一度だけだけどね」
 ギターを弾く真似をする。
「シンジはギターを抱えることもできないほど小さかったな…」
「どうしてアスカをダシにするようなこと、したんですか?」
 ラステーリはしばし目をつむって想い返してから答えた。
「約束…だよ、君としたんだ、いつかうまくなったら勝負しようって、俺も下手だったからね」
「そこまで覚えてません…ごめんなさい」
「覚えてる方がおかしいよ、シンジは物心もついてなかったんだから…、それがアスカの話だと、真面目にやってないって言うじゃないか、それでちょっとお灸をすえてやろうと思ってね」
 いたずらっ子のように舌を出す。
「しんじぃーーーーーー!どこだーーーーーーーーーーー!」
 酔ったアスカがロビーまで出てきた。
「アスカダメだよ!、カイザー、また後で」
 今にもこけそうな足取りのアスカを支えるシンジ。
 その姿が見えなくなるのを待って、ゲンドウがラステーリの前に現れた。
「お久しぶりですね」
「うむ、アレクは元気か?」
「元気ですよ、ゲンドウに嫌がらせしてこいって、焚きつけられました」
 くっくっく、っとラステーリ。
 その正面、シンジが座っていた場所に腰掛けるゲンドウ。
「あなたに憧れてギターを始めたけど…、蛙の子は蛙ですね、まさか負けるとは思ってませんでした」
「わたしにも64ビートで弾くことなどできんよ」
 くいっと眼鏡を押し上げるゲンドウ。
「嫌な役をやらせたようだな」
「それが狙いだったんでしょ?、嫌がらせをするつもりが、うまく利用されましたか…、まあでも、なかなか楽しめたし、よかったですよ」
「そうか」
 ゲンドウはそっけなく席をたち、柱の影から現れたユイと並んだ。
 ラステーリに頭を下げて挨拶するユイ。
 そっとゲンドウにカメラを手渡すのを見て、親馬鹿だなぁ、とラステーリはおかしくなった。


「あれ〜〜、どうしたの?」
 シンジとアスカが戻ってきた時、雰囲気が一変していた。
 ライブの模様をもう一度、っと、特別に置かれたはずのテレビとビデオデッキ。
 TV局が写した未編集のままのテープが、参加グループにはコピーして配られていた。
 だがシンジは、本来写るはずのない映像を見つけて固まった。
 誰もいない公園、ブランコ、レイにいだかれるシンジ。
 まぎれもないラブシーン。
「恥ずかしい…」
 レイがもじもじとのの字を描いた。
「シンジ様ぁ〜〜〜」
 瞳をうるませるミズホ。
「僕というものがありながらぁ〜〜〜」
 ハンカチの端を噛むカヲル。
「シンジもてもてやなー」
 トウジたちが笑う中、シンジはアスカの放つオーラに恐怖した。
 合掌。






 時に西暦「2016」年。
 ともすれば闇に包まれてしまいそうな程に暗い暗い一室。
 いつもの二人がいつものとおり、互いを見ることもなく座っていた。
 ここはゼーレのビル、その最上階にある会議室。
「ぱちん!」
 気持ちの良い音。
 あきれ顔で将棋盤に向っている冬月。
「呆れたものだな、すべてシンジ君をその気にさせるための仕掛だったのか?」
「そうだ」
「ぱちん!」
 そこは歩ではなく桂馬だろうと思うゲンドウ、間違ったと分かっていながら変えづらい冬月。
「あの子達はシンジを中心に動く、シンジが芸能界に入れば、皆ついていくさ」
「シンジ君が、その気になるか?」
「ステージと照明は魔物だよ、一度浴びればもう一度浴びたくなる」
「まるで経験があるような言い方だな」
 ぱち!
「シンジは自分で気づいていないだけだ、好きだからな、あのての興奮が」
 ニヤリと口の端を釣り上げるゲンドウ。
「それに、五人揃うこともデビューするための条件だ」
「何故?」
「今にわかる」
 ゲンドウはネルフによる新部門、芸能プロダクションの名前を、「天使更生組合」にしようと心に決めた。
 シンジたちのグループ名も脳裏に浮かべる。
(ANGEL…)
 くすくすくす…っとひとりニヤけるゲンドウを、ぶきみに感じる冬月だった。



続く








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