NEON GENESIS EVANGELION
Genesis Q':100
「ってわけでさ」
シンジは報告するように、ミヤに伝えた。
「…秋月さん?」
「良い!」
その大声に耳がキーンとなる。
「シンジ君、ありがとう!」
「そ、そう…」
恐る恐る受話器に耳を戻す。
「長身、顔も良くてお金持ちの医大生、こんな優良物件てほんとにあるのね!?」
(物件って…)
そんなに簡単に相手をしてもらえるかどうか、シンジはイマイチ不安があった。
(妹って、言ってたな…)
女の子として見ようとしていないのかもしれない。
ケンスケの言った通り、年上の男友達として、デートの味を教えてあげる。
その程度で抑えるつもりなんじゃなかろうか?、と、シンジは感想を抱いていた。
それはいつも学校でアスカ達に言い寄っている男子達とは、どこか構え方が違っていたからだ。
気合いの入り方と言ってもいいかもしれない。
(でも、ま…)
まだ実際に会ったわけではない。
だから実感が伴っていないだけかもしれないと、シンジは自分を護魔化した。
●
「疲れた…」
シンジは自分の布団にへたり込んだ。
クニカズの言う通り、二人の間に立ってそれぞれの都合や用件を中継して、なんとかデートの日付と場所を取り決めた。
双方の意見を取り入れての調停役。
気を遣う作業に神経がかなりまいってしまっていた。
「お疲れ様」
「ありがと…」
何気なくお茶の入ったコップと受け取り、口に含んでからぶぅっと吹き出す。
「げほ、がはっ!、れ、レイ、どうして!?」
いつの間にやらシンジの目の前にちょこんと正座して座っていた。
「どうしてって…、どうなったのかなぁって思って」
てへっと舌を出す。
「それに…、ちょっと心配だったから」
「心配?、なにがさ」
「うん…」
笑顔が翳る。
「レイ?」
「ん…、あたし達の親しい人達に食い込んで、何かするつもりじゃないかって」
「考え過ぎだよ…」
「でも」
これまでも色々とあったのだ。
急に大人しくなったとも考えづらい。
「だからね?、心配なの」
「うん…」
自分では大丈夫だと思っている。
しかし、こうも心配されると不安も沸き起こって来る。
「で、デートって何処になったの?」
レイは暗くなり過ぎたと内心で舌を出し、話題を切り変えた。
「…遊園地」
「遊園地?」
「うん…、ネオセントラルパーク」
無難と言えば無難な場所である。
ただやはり高校生の選択と言えなくも無かった、大学生のクニカズにはやや辛いコースである。
「そう言えば…」
「なに?」
「あそこ、一回行ったっきりなんだよね?」
それもトウジとヒカリをくっつけるために。
「そう言えば…」
(アスカに抜け駆けされたんだっけ?)
レイは隠す様にしてニヤリと笑った。
「ねぇ、シンちゃん?」
「なに?」
シンジは自分の考えに半ば浸っていて、レイの口調の変化に気付かなかった。
「ミヤが行く前に、一度見に行って見ない?」
「え…」
「ネオセントラルパーク!、何かあったら心配でしょう?」
「で、でも…」
シンジは躊躇した。
女の子と二人で出かけたらそれはデートだ。
その考えが根付いてしまったためである。
「もう!、ただの下調べなんだから、そんなに深く考えないの!」
「う、うん…」
シンジは困りがらも、半分以上その案に傾いていた。
(何かあってからじゃ、遅いもんな…)
アスカに言われた『責任』に後押しを受けているのだが、シンジには自覚が無い。
「うん、いいよ」
「ほんと!?」
「わかったよ…、いつにしようか?」
シンジは、信じてないわけじゃないけどと、心の中でミヤに向かって謝罪していた。
続く
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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
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Genesis Q
の
nary
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nakaya
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