NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':100 


「ってわけでさ」
 シンジは報告するように、ミヤに伝えた。
「…秋月さん?」
「良い!」
 その大声に耳がキーンとなる。
「シンジ君、ありがとう!」
「そ、そう…」
 恐る恐る受話器に耳を戻す。
「長身、顔も良くてお金持ちの医大生、こんな優良物件てほんとにあるのね!?」
(物件って…)
 そんなに簡単に相手をしてもらえるかどうか、シンジはイマイチ不安があった。
(妹って、言ってたな…)
 女の子として見ようとしていないのかもしれない。
 ケンスケの言った通り、年上の男友達として、デートの味を教えてあげる。
 その程度で抑えるつもりなんじゃなかろうか?、と、シンジは感想を抱いていた。
 それはいつも学校でアスカ達に言い寄っている男子達とは、どこか構え方が違っていたからだ。
 気合いの入り方と言ってもいいかもしれない。
(でも、ま…)
 まだ実際に会ったわけではない。
 だから実感が伴っていないだけかもしれないと、シンジは自分を護魔化した。






「疲れた…」
 シンジは自分の布団にへたり込んだ。
 クニカズの言う通り、二人の間に立ってそれぞれの都合や用件を中継して、なんとかデートの日付と場所を取り決めた。
 双方の意見を取り入れての調停役。
 気を遣う作業に神経がかなりまいってしまっていた。
「お疲れ様」
「ありがと…」
 何気なくお茶の入ったコップと受け取り、口に含んでからぶぅっと吹き出す。
「げほ、がはっ!、れ、レイ、どうして!?」
 いつの間にやらシンジの目の前にちょこんと正座して座っていた。
「どうしてって…、どうなったのかなぁって思って」
 てへっと舌を出す。
「それに…、ちょっと心配だったから」
「心配?、なにがさ」
「うん…」
 笑顔が翳る。
「レイ?」
「ん…、あたし達の親しい人達に食い込んで、何かするつもりじゃないかって」
「考え過ぎだよ…」
「でも」
 これまでも色々とあったのだ。
 急に大人しくなったとも考えづらい。
「だからね?、心配なの」
「うん…」
 自分では大丈夫だと思っている。
 しかし、こうも心配されると不安も沸き起こって来る。
「で、デートって何処になったの?」
 レイは暗くなり過ぎたと内心で舌を出し、話題を切り変えた。
「…遊園地」
「遊園地?」
「うん…、ネオセントラルパーク」
 無難と言えば無難な場所である。
 ただやはり高校生の選択と言えなくも無かった、大学生のクニカズにはやや辛いコースである。
「そう言えば…」
「なに?」
「あそこ、一回行ったっきりなんだよね?」
 それもトウジとヒカリをくっつけるために。
「そう言えば…」
(アスカに抜け駆けされたんだっけ?)
 レイは隠す様にしてニヤリと笑った。
「ねぇ、シンちゃん?」
「なに?」
 シンジは自分の考えに半ば浸っていて、レイの口調の変化に気付かなかった。
「ミヤが行く前に、一度見に行って見ない?」
「え…」
「ネオセントラルパーク!、何かあったら心配でしょう?」
「で、でも…」
 シンジは躊躇した。
 女の子と二人で出かけたらそれはデートだ。
 その考えが根付いてしまったためである。
「もう!、ただの下調べなんだから、そんなに深く考えないの!」
「う、うん…」
 シンジは困りがらも、半分以上その案に傾いていた。
(何かあってからじゃ、遅いもんな…)
 アスカに言われた『責任』に後押しを受けているのだが、シンジには自覚が無い。
「うん、いいよ」
「ほんと!?」
「わかったよ…、いつにしようか?」
 シンジは、信じてないわけじゃないけどと、心の中でミヤに向かって謝罪していた。



続く







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