「カヲル飲んでるぅ?」
 再び和子の部屋だ。
「君に必要なのは節度だね?」
 と言いながらも新たなえびちゅの蓋を開ける。
「かったいんだからぁ〜、ここも堅かったりして」
 和子はカヲルの股間に足を伸ばした。
「君は誰かに似ているね?」
「そっすか?」
 薫の髪を撫でる和子。
「まあいいさ」
「くす、寝ちゃったか」
 和子の膝枕で、気持ちよさそうに寝息をかいてしまっている。
「君がカルピスを割ったんじゃないのかい?」
 焼酎で。
「あたしのだったのに、気がつかない薫がいけないんですよぉ」
 何気にコップを入れ替えたのは内緒らしい。
「酷いね、君は?」
「カヲル先輩だってそうじゃないですか?」
 止めなかったことを指しているらしい。
「楽しい時には水をさしたくないからね?」
「ぷくく、ほっぺが桃みたいでかわいー!」
「赤ん坊のようだね?、特に寝ている時には」
「ほんとですね〜?」
 薫を優しい瞳で見つめる。
 そのいつもは見せない姿に、カヲルはちょっと驚いていた。
「好きなのかい?」
「誰が?」
「君が」
「誰を?」
「薫を」
「そりゃ好きですよぉ〜、好きじゃなかったらこんなことしませんって、チュ〜☆」
「うなされてるんじゃないのかい?」
 ん〜ん〜と嫌がっている。
「しっつれいな奴ぅ」
 ぎゅっとつねる。
「けれど大切なんだろう?」
 和子は苦笑しながらも頷いた。
「…薫って、似てるんですよ」
「君にかい?」
 わずかに頷く。
「あたしか…、お父さんか、わかんないけど、まあこんなものかなって決めちゃう所が」
「そうなのかい?」
「そうだったんですよ」
 思い出す。
「だから教室でも一人だったし…」
 薫はいつも一人だった。
「同情なのかい?」
 ビールをあおる。
「…明るい子って、見てて気持ち良いじゃないですか」
 自分もそうでありたいと言う心。
「だからなのかい?」
「あたしみたいになっちゃう前に…」
「解放してあげたかった?」
「わかんないですよ、でも好きだな、今の薫は…」
 もう一度、今度はおでこにキスをする。
「…良い子だね?」
「良い子ですよ」
「そうだね?」
 和子も飲む。
「カヲルは…、薫が好きじゃない?」
 逆の質問に、カヲルは表情を堅くした。
「気持ちには、答えられない…」
「どうして?」
 言いよどむ。
「色々と、あるからね…」
「でも、薫はわかってますよ」
「少しね?」
 京都でのことを言っているのだ。
「あたしはちょっとだけ感じてるだけだけど…、貴重だと想いません?、そういうのが分かってて好きだって言ってくれる子って」
「かもしれないね?」
 ふふふと、和子はちょっとだけ妖しく笑った。
「ふふ…、じゃああたしもやっぱりお得なんだ?」
「そうなのかい?」
「そうですよ…」
 ゆっくりと顔を寄せていく。
 むぎゅ!
 その顔面に、薫の手が張り付いた。
「起きてたのかい?」
「まったく…、人が寝てると思って好き勝手言ってるんだから…」
 カヲルは気がついていたらしい。
「なによー!、良いじゃないキスぐらい!」
「よくない!、まったくケダモノなんだから」
「それはあんたも同じでしょうが…」
 カヲルはそれを肴にビールを含む。
 ここも居心地がいいよ、シンジ君…
 カヲルはとても、和んでいた。



続く








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