NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':time 55 


「奇麗な顔してるよね?、もう一人もちょっと可愛いかも…」
「う〜ん、ちょっとくすぐられちゃうかも…、でもあれかな?」
「なに?」
「やっぱ、そう言うのかな?」
「やだ!、それってどっちが?」
「やっぱり白い方の子が「攻め」なんじゃないの?」
「やーん、ちょっと想像できちゃうかも…」
 レイはネコのように耳を立ててピクリと動かした。
 噂の先を辿れば、ピッタリとくっついている二人が居る。
 何やってんの…
 確かにそう見れば見えない事も無い。
 あ、試着室に行っちゃう…
 レイは慌てて、適当なシャツを持ったまま追いかけた。
「シンちゃん、水着買うの?」
「あ、うん…」
 シンジはレイが腕にかけている服を見た。
「レイは?」
「あたしはもう買っちゃってるから…」
「そうなんだ…」
 どんなのだろう?と、想像してみる。
「嫌だシンちゃん、目つき危ない…」
「え?、あ、ごめん…」
 真っ赤になってうつむく。
「ううん、いいけど…」
「あ、そ、それは?」
「これ?」
 広げて見せる。
「シンちゃんに合うかと思ったの」
「僕に?」
「どうかなぁ?」
 白地に、天晴れ!の扇子の絵入りだ。
「ど、どうかな?」
「それも着てみればいいさ、さ、シンジ君?」
 う、うん…
 覗かないでよ?、って言うのも変だよな…
 とは思いつつも中に入る。
 シンジが入るのを見届けてから、カヲルはレイに切り出した。
「レイ?」
「なに?」
「賭けをしないかい?」
「賭け?」
「そう…」
 不敵に笑う。
「僕たちが水着を選んであげるのさ」
「勝ったらなにくれるの?」
 あまり興味はなさそうである。
「そうだね…、この後の時間、というのはどうだい?」
「え?」
「今日はアスカちゃんもミズホも海、万が一にも邪魔する者は誰もいない…」
 そっか…
 騙される。
 う、でもあんまりデート代持ってないし…
 レイは指を一本突きつけた。
「なんだい?」
「もう一つ足していい?」
「だからなんだい?」
「デート代…」
「ん?」
「あたしが勝ったら、デート代も払うこと」
 つい苦笑してしまう。
「なら僕が勝ったら、アスカちゃん達の呼び出しはしないこと、それでいいね?」
 う、読まれちゃった…
 とは想いつつも、美味しい条件だと考えずにはいられなかった。


「…レイって、どういうセンスしてるんだろ?」
 別にシャレではなく、ちょっと扇子のプリントにはまいってしまう。
「レイの趣味なのかな?、でもレイがこんなの着てるとこ見た事ないし…」
 適当に持って来たものを、完全に趣味だと思い込んでいるシンジである。
「シンちゃん?」
 いきなり首だけ突っ込むレイ。
「うわっ!」
 脱ぎかけのズボンの前を、あわててシンジは合わせて隠した。
「もう!、覗くのはやめてって言っただろ!」
 ごめんとしゅんとする。
「それで!、なに?」
「あ、もう着ちゃったかなと思ったんだけど、まだ?」
「まだだけど…」
「どうして着ないの?」
「どうって…」
 モジモジとレイを見る。
「じゃあ、着るから、出てってくれない?」
「え?、見といてあげようって思ったのに…」
 思ったのにって…
 慌ててチャックを上げようとする。
「あーーー!、なに着ちゃってるのよ、ダメじゃない!」
「だ、ダメって言ったってさ!?」
「一回は履かないとわからないでしょ?、まったくぅ」
 よいしょっと、中に入ろうとする。
「だ、ダメだって!、ここ男子用なんだから、入って来ないでよ!」
「え〜〜〜?、だって自分で履いてくれないんだもん」
 背を向けるシンジにガバッと抱きつく。
「ね、コレなんてどうかなぁ?」
 そのまま腰に腕を回して、シンジの前に水着を合わせる。
「これって…」
 競泳用のビキニじゃないか!
「や、やめてよ、からかうのは!」
「あ、こら、逃げちゃダメ!」
 レイはもがくシンジのズボンに手を引っ掛けた。
「何をしてるんだい?」
「うわっ!、今度はカヲル君!?」
 パンツをずり下げられながらシンジは驚いた。
「僕のも試してもらいたいのさ、これをね?」
「その前に助けてよ!」
 泣きすがる。
「ああ、そうだね?、レイ…」
「なに?」
 クスッと微笑む。
「僕が手伝うから、君はいいよ」
「え!?、い、いいよ、いいってば!」
 中に入りこもうとするカヲルを押し返す。

「量が多いからね?、大変じゃないのかい?」
 その首根っこをつかむレイ。
「カヲル!」
 引っ張り出す。
「もう!、余計な事はしなくていいの!、あたしがやるから!」
「レイはズルいからね?、そうもいかないさ」
 カヲルは皮肉った笑みをレイに向ける。
「ここは男の園だよ?、女性には遠慮してもらいたいね?」
「園っていうのはやめて欲しいよなぁ…」
 シンジは本気で嫌がっている。
「僕なら大丈夫さ、ほら?、コレなんてどうだい?」
「あ、こら!」
 レイの手をすり抜けてシンジに抱きつく。
「ビキニだけどね?、シンジ君には似合うと思うよ?」
「何で二人とも…、うわ!、そんなとこ触らないでってば!」
 水着を合わせながらも、もぞもぞと余計な所も触っている。
「カヲル!、シンちゃんこっちなんてどう!?」
「こっちって…」
 ごく普通の水着だ。
「うん、いいね、いいかも…」
「だめだね」
 きっぱりと言い放つカヲル。
「な、なによ、カヲルが決める事じゃないでしょ!?」
「レイはどうなんだい?」
「レイがどうかしたの?」
 レイ自身もキョトンとしている。
「あたし?」
「レイはシンジ君のために、シンジ君のためだけの水着を新調したんじゃないのかい?」
 ちょっと赤くなる。
「そうだけど…」
「なら、シンジ君に、こんな普通の水着を着せるのかい?」
 レイはちょっとだけ考え込んだ。
「そうかも…」
「ならこれは却下だね?」
 ああ!
 惜しそうに手を伸ばすシンジ。
 普通の水着がぁ〜
 この時点で、ろくな物が手渡されない事が確定してしまうのだった。






「ビーチバレーというのは、その昔一人の女の子を賭けて一騎討ちをおこなった所に由来を発し…」
「嘘くさいで、なんぼなんでも…」
 ジト目のトウジ。
 暇潰しに、ケンスケがビーチバレーを持ち出していた。
「相田君!、デマ流さないで!」
「いや…、でもさ…」
 ふっと横を見る。
「行くわよ、ミズホ!」
「はいですぅ!」
 ていっと打ったボールを、ミズホは手を組み合わせて受け返す。
「甘い!」
「ふきゅ!」
 呆れるトウジとヒカリ。
「少なくとも、あの二人にはほんとの事になってるし…」
 はぁ…
 ユニゾンしてため息をつく。
「何を賭けたのかしら?」
「いつものもんやろ…」
「そこ!」
 バシッとアタック。
「なんのですぅ!」
 ダイビングキャッチ、だが砂に胸が引っ掛かった。
「ふわ!?」
 水着がめくれる。
「あ、相田君、あれ、レイじゃない?」
「え?、どこ!?」
 思わず反対方向を向いてしまう。
「勝った!」
 アスカ渾身のスパイク。
「うっきゃー!」
 左手で胸を隠して立ち上がり、右手でなんとか拾い上げる。
「しまった!?」
 アスカの頭上をボールが流れた。
「なんだよ、いないじゃないか…」
「何処見てるのよ、あそこよあそこ!」
 グキ!
 強引にケンスケの首をねじ曲げる。
「痛い、痛いって!」
「こんちくしょう!」
 手を伸ばすアスカ、だがいたずらな風が、ボールを遠いものにした。
 パス…
 無情にも勢いを砂に吸収されて、軽くめり込んで止まるボール。
「や、や、や…、やりましたぁ!
 諸手を上げてピョンと跳ねる。
 それなりにあるミズホの胸が、可愛くプルンと飛び跳ねる。
「おお!」
 歓声を上げたトウジの頬に、ヒカリの張り手が炸裂した。







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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

Q'Genesis Qnaryさんに許可を頂いて私nakayaが制作しているパロディー作品です。
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