NEON GENESIS EVANGELION
Genesis Q':59
「で、碇君についての情報は?」
マユミは何処に居るかと言うと、放送室で情報を分析していた。
「はい!、男子トイレで踏ん張ってるそうです!」
「ええ!?、女装して女子トイレに…」
錯綜する情報。
「なんでも近くの喫茶店でバニーガールと偽ってバイトを…」
ザワザワと「違う」「そうじゃない」の声が聞こえる。
「これは…、裏切り者が居るのかも」
「裏切り?」
マユミを怪訝そうに見る同胞。
「情報元は?」
「それは…、まさか!」
全員が眼鏡の少年を思い浮かべる。
「あいつ!」
「相田ケンスケを捕らえるべきだわ」
「早急に!」
ジャキッと筒先が掲げられた。
●
「シンジ!」
逃げようとするシンジ、だがミズホに乗りかかられる。
「ミズホ離して!」
「あーーー!、なにイチャついてんのよ、あんた達わぁ!」
ジャキッと向けられる銃口。
「ミズホ、ごめん!」
「ほへ?、ふわあああああ!?」
ドンッとシンジは蹴り飛ばした。
ゴロゴロと転がっていくミズホ。
パカァン!
「世界が回ってますぅ〜〜〜」
アスカを巻き込んだまま、お目々グルグルのうさミズホ。
「いたたたた…」
「じゃあねぇ?、アスカぁ!」
「待ちなさいよ、こらぁ!」
言った所で待つはずが無い。
「これならなんとか逃げ切れるかも…、え!?、あ、マナ!?」
「シンちゃん見っけ!」
スチャッと構えられるランチャー。
「つっかまっえた!」
ドン!っとクモの巣状に網が広がる。
捕まっちゃう!?
それもマナに!
深い意味はあるようで無いようで思い浮かぶ。
きっとアスカに怒られるんだ。
レイには冷たくあしらわれるんだ。
それでミズホには泣かれちゃって…
最後にみんなが乗り込んで来て、被害は僕の所に集中するんだ!
「そんなの嫌だぁ!」
「嘘!?」
常識を越える反応速度を見せて真横に飛ぶ。
え!?
何も無い。
階段!?
あわてて頭を庇う。
「シンちゃん!?」
レイ!?
踊り場で驚いている。
「危ない!」
意外と思える腕力で受け止めるレイ。
「くうっ!」
ドン!
それでも反動が殺せなかったのか?、レイはしこたま背中を打ち付けた。
「レイ!?」
慌てて抱き起こすシンジ。
「レイ、大丈夫なの?、レイ!」
ぐったりとしていたレイが反応した。
シンジの前髪を掻き上げる。
「シンちゃん…、血が出てる」
「バカ!、自分の心配してよ…」
ジャキ…
「シンジ!」
「シンちゃん!」
マナとアスカも慌てて駆け寄ろうとして固まった。
「シンちゃん、ごめんね?」
「ず、ずるいや…」
ゆっくりと両手を挙げる。
動けない、お腹に銃口を押し付けられている。
「レイ、あんた!」
「ふふふ…、シンちゃん、一緒にお風呂入ろうね?」
「シンちゃんを離しなさい!」
「だぁめ☆、シンちゃんと背中の流しっこするんだからぁ」
「な、なに言ってんだよ!」
背を向けるように指示を出す。
「全部見せてあげるぅ☆」
「ちょっとぉ!」
首に腕を回し、シンジを盾に移動する。
「撃てる?、撃てないよねぇ?、撃っちゃうとシンちゃんを捕まえたって事になっちゃうから、温泉旅行は無しだもんねぇ?」
くっと歯噛みするアスカとマナ。
「…ここでシンちゃんを捕まえても、もう捕獲数ではトップに追い付けないわよ?」
じりじりと下がりながら二人を笑う。
「ごめんね?、でも愛の前にはなにもかもが正当化されるのよ…」
「「こらぁ!」」
今だ!
隙を見付けてシンジは動いた。
このまま後ろ手に銃を!
ぐにゅ!
つかもうとして、あろう事か胸を鷲づかみにした。
「きゃあ!」
「わわわわわ!」
「こらシンジィ!」
はっとする、目の前には胸を抱きかかえてビックリしているレイが居る。
「ご、ごめん!」
シンジは慌てて反転した。
「あんたなに逃がしてんのよ!」
「だだ、だっていきなりだったから…」
手を口元にやって恥じらうレイ。
「あんた今更恥ずかしがるような事なんてないでしょうが!」
「むっ!、あるもん、アスカとは違いますぅ!」
バララララララララ!
「「きゃあ!」」
慌ててマナから飛び離れる。
「ちょっとあんた!」
「いきなり何するの!」
マナの銃から硝煙が立ち上っている。
「あんたそれ本物じゃない!」
「そっちみたいにお友達ごっこするつもりはさらさらないの!、シンちゃんは貰いますから!」
「なんですってぇ!?」
反射的に銃を構える。
「婚姻…、わかってるよね?、その道程は長いけど、大半は学生の内に決するわ」
「つまり?」
「アプローチ!、既成事実こそが基本中の基本!」
「ふんふん!」
「そしてそれはこれからの関係を確定づける意味でも重要なのよ!」
「なるほど!」
「温泉旅行…、豪華一泊二日!、シンちゃんとハンターの賞品を合わせれば…」
「これで決まりって事ね!?」
「そう!、だからそこでくたばってて!」
「「わっ!」」
踊り場から下の階までジャンプする。
その後を正確に追う弾痕。
「みね打ちだから安心して!」
「いい加減にしないと殺すわよ!?」
ころころと手榴弾がマナの軍靴にこつんと当たる。
え?
「しまった!?」
パン!
破裂、飛び散る染料。
「め、目が!」
顔面を染料が覆っている。
「今の内、行くわよ?、レイ!」
「え?」
「急いでシンジを保護するのよ!」
「でも…」
「何迷ってんの!?」
アスカはレイの手首をつかんだ。
「いいの?」
すまなさそうに呟くレイ。
「さっきはあんなことしちゃったのに…」
アスカはぽんっとその頭に手を乗せる。
「これでおあいこよ?」
「アスカ…」
感激に目を潤ませる。
「許してくれるの?」
「当ったり前じゃない!、あたしたち、親友でしょ?」
「アスカ…」
「レイ」
((利用するだけ利用して!))
くっくっくっとお互いを見る。
「行きましょう?」
「うん!」
いつ壊れてもおかしくないほど、実に脆そうな関係だった。
●
「こうなったら…、餌で釣るしか無いよね?」
校内地図を手に焦る。
「餌ぁ!?」
「そ、シンちゃんが引っ掛かりそうな餌を置いとくの」
「あんたバカぁ?、そんなので…」
ちっちっちっとアスカを遮る。
「シンちゃん優しいから助けに来てくれるって!」
パン!
両端を引っ張ってロープを鳴らす。
「あんたなに考えてんのよ?」
「アスカにはその資格があると思うんだけど?」
ニヤリと、以前から一度してみたかった笑いを浮かべる。
「だからなによ?」
「シンちゃん、きっと助けに来てくれるだろうなぁ〜」
嫌な感じがビシビシ伝わる。
「アスカ!、助けに来たよ!!、シンジ!」
「そんであたしをふん縛ったまんま、あんたはシンジを連れて逃走するってわけね?」
何で分かったの!?
バレバレな顔で驚く。
「はぁ…、あんたの知恵って底が浅いわね?」
ぷうっと膨れる。
「いいよ!、もうアスカは協力してくれなくっても!」
両手を組んでほわんとする。
「シンちゃん…、あたしならきっと出て来てくれるよねぇ?」
「んであたしが悪の魔女とか考えてんでしょ?」
反応無し、固まっている。
「あんたねぇ?、それであたしがシンジを連れて逃げたらどうするつもりよ?」
「え?、だってそんな酷い子をシンちゃんが好きになるわけないしぃ」
「考えたのはあんたでしょうが!」
耳がキーンとなってしまった。
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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
Q'
は
Genesis Q
の
nary
さんに許可を頂いて私
nakaya
が制作しているパロディー作品です。
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