NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':80 


「あたし達に残された時間は限りなく少ないわ」
「だからこれまでのシナリオを振り返るのかい?」
「シナリオの変更、これは予定に無かった事なんだが…」
「でも折り返し点、、空港からの旅立ち、全体を見返しても変更できる場所はここだけだったわ?」
「しかしいいのか?、千葉…」
「監督はいいものを撮るだけだよ、それに責任はなんとかあっちに持たせるさ」
 中々極悪な集まりである。
「じゃ、とりあえずこれが書き直した台本ね?、全体をもう一度見直したいんだけど…、いいかしら?」
「台本は配役が完全に決まったんで、イメージに合わせて書き直した、それが最終稿だよ」
「じゃあ、始めようか?」
 怪しい陰謀が渦巻くアスカの部屋。
 アスカ、カヲル、タタキ、千葉。
 主要メンバーだけが揃って、そして悪望の最終調整が始まった。


Q_DASH80
「1・2・3でキメてあげる」


 赤い髪、どうしたの?、なに泣いてるの?
 苛められるの?、苛められたの?、僕じゃダメなの?
 強くなるの、誰にも負けないぐらい、強くなるの。
 強くなるから、強くなって…
「ばかシンジぃ!」
 はっと目覚めると同時に軽蔑した眼差しを見つける。
「なんだ、アスカか…」
「何だとは何よ!、それが毎朝起こしに来てあげる幼馴染に向かって言う言葉ぁ?」
 もそもそと布団を被り直すシンジ。
「感謝してるよぉ…、だからもう少し、寝かせて…」
「じゃ、あたしも☆」
「って布団に入って来ないでよぉ!」


「どうでもいいんだけどぉ」
「なんだい?」
「なんでアスカとかシンジとか、そのまんまなわけ?」
 目が半眼になってしまう。
「ああ、それは…」
 途中から千葉が割り込む。
「俺がカヲルくんから君達のことを聞いてさぁ、そのままこんなんどうだって持ち込んだんだよ」
「あんたが原因かぁ!」
 がしゃあん!
 窓を突き破って消えてくカヲル。
 肩で息をするアスカと、唖然と見てしまった千葉。
「おい…」
「なんだ?」
「最上階から窓…、じゃなくて、あれって普通のガラスじゃないはずだし」
「ああ、高層建築物の窓ガラスは分厚いからなぁ…」
「いつもこんなんなのか?」
「似たようなもんらしい」
「はん!、あんなバカほっといて、続きに行くわよ?」
 アスカはドスッと腰を下ろした。


「まったくもぉ…、やめてよねぇ?、子供じゃないんだから…」
「子供じゃないならなんかしてみなさいよ?」
 二人揃って疾走中。
 学校に向かって制服のシャツを汗で張りつかせている。
「なんで僕なんかに構うんだよぉ…」
「あんたがいつまでたってもお子様だからよ」
「おもちゃじゃないんだから…」
「おもちゃよ」
 きっぱりと口にされると泣きたくなる。
「それより、今日も転校生が来るらしいわよ?」
「転校生かぁ…、可愛い女の子だといいなぁ」
 ムッとするアスカ。
「はぁ、はぁ、はぁ、初日から遅刻だなんて…」
 少々焦りながら小走りに駆ける女の子。
「シンジ危ない!」
「え?、あ!」
 T字路でシンジと激突。
「あいててて…、あ」
「え?、あ!」
 ばっと女の子はスカートを押さえる。
「ごめんなさい、先、急いでたんです」
「あ、うん、ごめん…」
「じゃ、じゃあ失礼します」
 真っ赤になって頭を下げる山岸マユミ。


「ってちょっと待ちなさいよ!」
「ん、どうしたんだい?」
 さらりと何事も無かったかの様に受け流すカヲル。
「カヲル…、血が出てるぞ」
 タタキの突っ込み、どうやら下までは落ちなかったらしい。
 割れた窓から這い昇って来た。
「なんでマユミが出て来るのよ!」
「ああ…、童顔で年齢も分かりにくいし、これならいけうだろうと思って最終選考に残したんだ」
「その先は村雨の趣味だな」
「ああ、趣味だ」
 うなずき合うオヤジ達。
「…ロリコン?」
「一応高校生が相手なんだし」
「あいつも若いからな?、まあすっぱ抜かれるようなヘマはしないだろ?」
「鬼畜ね、間違いなく」
 後任せて大丈夫かしら?
 それが顔に出たのかもしれない。
「大丈夫だよ」
 カヲルの優しい声がかかった。
「彼女は強いからね?、僕達と同じくらいに」
「そう?、そうかもね…」
 あのマナの友達なんだし。
 酷い比較をするアスカだった。


 頭を下げたマユミの背中を、シンジはこけたまま見送った。
「なにへらへらしてんのよ!」
 パン!


「なにぃ!?、んで見たんか?」
「ちらっとだけ…」
「かぁ!、なんて羨ましいやつ!!」
 教室、いつもっぽい風景。
 そこに車のやたたましい音が鳴る。
「ミサトセンセや!」
「「おー!」」
 車が駐車場にターンイン。
 その挙動でミサトと言う先生の性格を見せておく。
「やっぱりええなぁ、ミサトセンセは」
 友人A、相田の構えるカメラに向かってミサトVサイン。
「「なによぉ、三バカトリオが!」」
 不機嫌な声はアスカとその友達の洞木。


「よろこべ男子ぃ!、転校生を紹介するぅ!!」
「山岸、マユミです」
「あ!」
「え?、あ…」
 真っ赤になって俯くシンジとマユミ。
「なになにぃ?、どうしたわけ二人…」
 ニヤッとミサト。
「「イヤーンな感じぃ!」」
「あ、もしかしてシンちゃん…」
「な!、ち、違うよ、ミサト先生、なに考えてんだよ!」
「ん〜?、べっつにぃ」
 そう言いつつ、ちらりとアスカの様子を窺い見やる。
「なによ!、あたしには関係無いでしょ!」
「あたしはただぁ、アスカなら何か知ってるのかなぁって」
「なんであたしが!」
「あらぁ?、いっつもシンちゃんの保護者だって言ってたじゃない」
「…保護者、人が生きていくために必要な者、でもそれには虐待が伴うものなのかい?、僕にはよく分からないよ」
「…渚くぅん、ち・こ・く・よ?、そのまま外で立ってなさい」
「そうか、そう言う事かリリン、どうりで廊下に誰もいないと思ったよ」
 すごすごと出て行く美少年。
「あのぉ…」
「あ、山岸さんの席は…、えっとシンちゃんの隣でいいわね?」
「え!?」
「なぁにシンちゃん、嫌なわけ?」
「ち、違いますよ」
 ただなんとなく、また赤くなってマユミを見てしまう。
 ボッ!
 そのくらい音をさせてマユミは赤くなり、顔を逸らした。
「はは…、ま、仲良くやってちょうだい」
「あ、あの、よろしく…、えっと」
「碇、碇シンジだよ」
「よろしく、碇君…」
 にこっと微笑む、その表情は初めて見るような、とても柔らかい笑みだった。


「むぅ…」
「今度はなんだい?」
「なんかむかつくわね?」
「そうなのかい?」
「これじゃああたしって当て馬じゃない!」
 すっかり感情移入してるよ。
 苦笑してしまうタタキ。
「まあラブコメのキャラ配置なんて似たようなもんだよ」
「それにしても、僕はこんな風に見られてるわけですか?」
「違うのか?」
「はまり役じゃない!」
「あすかちゃんも可哀想に…」
「あんたケンカ売ってるわけ?」
「カヲルもその辺にしておけよ?、今度はガラスが無いから下まで一直線だぞ?」
「はん!、こいつがそのくらいで死ぬ分けないじゃん」
「…いつもお前って、そんな風に扱われてるのか?」
「うちのADより酷いぞ」
「何事も慣れですよ」
 カヲルはさも当たり前のように答え、ついでに当たり前のように手にワイングラスを持っていた。







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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

Q'Genesis Qnaryさんに許可を頂いて私nakayaが制作しているパロディー作品です。
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