NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':92 


 ミシッと言う音がしたかと思うと、続いてビシッと酷い音がして、『がんがらがしゃーん!』っとひっくり返る騒音が鳴り響いた。
「やったな?」
 やれやれと風呂から上がる。
「レイ、アスカ何やってるのさ!?」
「シンちゃあん」
「うわぁ!」
 何を被ったんだかレイの頭にシラタキが乗っていた。
「なにやってんだよっ、うわ…」
 酷い惨状。
 テーブルは中央へ向かってへし折れ、酒瓶や缶、皿に至ってはまだ多少残されていた刺し身ごとひっくり返っていた。
「だってぇ、アスカが、アスカが酔ってくれないんだもぉん…」
 ヒクヒクと痙攣しているアスカの生足が白かった。
「酔ってくれないって…、でも」
「でぇもぉ?」
 なんだか色っぽく擦り寄るが、髪は鍋の出し汁で油が光って嫌ぁな感じだ。
「寝てるじゃないか」
「ふへ?」
 見るとアスカはくたばっている。
 打ち所が悪かったのだろう、あるいは口に刺さっているウォッカの瓶の中身の仕業か…
「うううううぅ、いやったぁ!」
 抱きつく。
「ちょ、ちょっと!」
「これでシンちゃんと、シンちゃんとお風呂にぃ…」
 そのままズルズルと崩れ落ちていく。
「レイ…、寝ちゃったのか」
 ちょっとほっとする。
「でも…」
 良く見れば浴衣にも染みは広がっている。
「臭いついちゃうし、ちょっとレイってば!、だめか…」
 と思ったら、急にピクンと反応した。
「レイ?、わ!」
 むくっと起き上がる。
「れ、レイ?」
「…お風呂」
「え?」
「入るわ」
 目が赤く、さらに鋭い。
「あ…」
 シンジはようやく気が付いた。
「綾波?」
 コクリと頷かれる。
「そっか…、じゃあ」
 とシンジは風呂場を明け渡したが。
 その後のことを考えていないのはまずかった。


 触らぬ神にナントやら、と言う言葉があるように、寝ている最中の大トラ…、すなわち酔っぱらいを起こすほどシンジは愚かではなかった。
 多少アスカの状態に「本当に酔いつぶれたのか?」と言う疑問が残ったのだが、シンジは部屋のすみに布団を敷いて眠ることにした。
 ふとミズホを探すと…、潰れたテーブルの下に住処を求めていた。
「シンジ様ぁ…、ふきゅうきゅ…」
 幸せそうなのでそのままにしておいた。
 翌朝。
 目が覚める、シンジはカーテンを引き忘れたと思って後悔した。
 朝日がまぶし過ぎて目を細める。
「まだ7時じゃないか…、つっ!」
 腕に痺れが走った。
「なんだ?、あ…」
 すやすやとレイが眠っていた。
「…また潜り込んで、へ?、あ」
 横に向き直すと布団が浮いた、ちらりとレイの肩が見えた。
 ごくっと喉が鳴ってしまう。
(み、見ちゃだめだ!)
 またレイのいたずら、タヌキ寝入りであろうと推察して…、シンジは凍り付いた。
 いや、正確には思い出した、ここが何処なのかと言う事を。
「うわあああああああああ!、ごめんなさいっ、ごめんなさい!」
 跳び起きて平伏す、この時ちゃんと目を開いていればレイが浴衣を着ている事に気が付いただろうが、シンジが平謝りに謝ったのはアスカにだった。
「ふあ!、シンジ様の悲鳴が!!、ふきゃううううううううううううううう!」
 ゴン!っと良い音、机で頭を打ったらしい。
「ふきゅうきゅふきゅう」
 それでも立ち上がるが千鳥足。
「きゅ!」
 足の小指をクリーンヒット。
「っ!」
 そのままレイの足に引っ掛かり横転、転がった先で…
 ゴン!
 アスカの頭部に直撃。
「…アメリカンコミックのようだな」
 冷静に観察するゲンドウ、最初に驚いたのはこの男が覗き込んだためである。
「そう言う問題じゃあ…」
「がぁああああああああああああ!」
「ふきゅううううううううううう!」
 二人の少女は、頭部を押さえて悶絶し、シンジはこの後、何故布団を敷いて寝かせなかったのかと結局殴られてしまうのだった。


 その頃、カヲルがどうしていたかと言えば…
(まずいね、これは)
 いつまで気を失っているふりを続けようかと、和子のジト目を受けながら、ゴロゴロと喉を鳴らす薫の積極的な態度に脂汗を流していた。



続く







[BACK][TOP][notice]


新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

Q'Genesis Qnaryさんに許可を頂いて私nakayaが制作しているパロディー作品です。
内容の一部及び全部の引用・転載・加筆その他の行為には
作者である私と原作者naryさんの許可または承認が必要です、ご了承ください。

本元Genesis Qへ>Genesis Q