NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':109 


熱い風を求めてる
僕に無いものを
与えてくれる


重なる視線が求め合う
震える息が
僕に無かったものを生む。


勇気が突然溢れ出す


想いが弾ける伝えるために
想いがかすんで忘れぬように

瞬きする間の君の仕草が
僕に勇気を与えてくれた

いつか君に届きます様に

「キスしても、いいですか?」



その髪の艶が奇麗になる頃
僕達の間は変わり始めた
ほんの少しの距離が遠くて

想いが弾ける伝えるために

揺れるMind 熱いHeart
ココロが悲鳴を奏でてる

君に伝える
君に届ける
熱いもどかしさを解き放ち



僕を見る瞳が変わらなくて
吐息をつく唇は恐さを増して
ただ心だけが遠ざかる

想いがかすんで消えて行く

軋むHeart 迷うSpirit
爪先立ちの愛が転がる

君に上げたい
君を感じて
惑わせるものを振り払い


Simpleに素直になりたくて



熱い風を求めてる
僕に足りない物を
教えてくれる


重なる視線が求め合う
これがきっかけ
僕の心を決めさせる


勇気が突然溢れ出す


いつかいつでも奪えますように

「キスしても、いいですか?」






 ぐいっとシンジは腕を引かれてバランスを崩した。
 かすめるように、その頬に柔らかなものがさっと触れる。
 考えるまでも無かった、視界を赤い髪が埋めたから。
「アスカ…」
 シンジは頬を押さえながら苦笑した。
「あんたは…、そういうのが一番似合ってるわよ」
「え?」
 キョトンとするシンジにアスカは身を寄せるように場所を動いた。
 シンジの隣に、窓のサッシに並んで座る。
「あんたは…、人の気持ちなんて考えなくていいって事よ」
「そんな…」
「ただ笑ってりゃ良いの…、それだけで」
 アスカは自分の言葉を肯定するために、シンジに身を預けた。
 シンジの肩にでは無く、ギターを押しのけるように胸に倒れる。
「アスカ…」
 シンジはアスカを支えるように腕を回した。
 アスカの柔らかな体からは冷たさが感じられた。
 雨のせいで肌が尖っている、それはシンジもだった、風呂上がりのままの恰好だったから。
「ギターでも、歌でも…」
 アスカは支えてくれたシンジの腕に、自分の手をそっとかけた。
「…一生懸命聞いてもらおうって、自分の気持ちを伝えようって…、そう言うシンジが、一番よ」
 シンジは、うん、と頷いた。
 アスカの言葉の意味はよく分からなかったが、自分に何かを預けてくれていることは、その温もりから感じることができたから。






「ただいまぁ、シンちゃあん?」
 靴を脱ぎ捨てて、レイはどたどたと階段を上がった。
 バンドは上手くいっている、それはそれとしてもシンジのことは心配だった。
 少しでも不安や負担は減らしてあげたい、だからレイはそれを報告しようと思っていた。
 が…
 それは出来なかった。
「シンちゃん…」
 大きな声を出そうとして、そのまま掠れさせてしまう。
(ばか!、隠れること無いじゃない…)
 自分でした事が信じられなかった。
 レイは襖の陰に隠れてしまったのだ。
 開けっ放しの襖から、シンジのギターと歌声が通る。
 鼻歌のようなハミングも…
(アスカ…)
 レイはそっと大部屋を覗き込んだ。
 窓に二人が腰掛けていた。
 まるで恋人同士のように。
 あの時の…、河原でシンジにギターを弾いてもらった時の…
 自分のように。
(アスカ…)
 アスカは幸せそうに、シンジに合わせて口ずさんでいた。
 レイはぎゅっと唇を噛み締めた。
 何故だかとても悔しくなってしまったから。
(シンちゃん…、どうして?)
 何が『どうして』なのかは分からない。
 だが原因はシンジでは無く、アスカがあそこにいる事のように思われた。
 そしてそれは正しかった。
(そんなの、嫌…)
 それが正直な感想であった。
 最近、シンジの曲は勢いやテンポを重視するようになって来ていた。
 それは確かに聞いていて楽しめるものだった。
 どこか自然と乗ってしまうようなアップテンポの曲だった。
 だが…、いま目の前で爪弾かれている曲には、それらには欠けてしまっていた優しさがあった。
 穏やかさがあった。
 最近失われつつあった、大好きだったシンジの『心』がとてもよく感じられた。
 そしてアスカも…
(幸せ?)
 思わず、そう尋ねてしまいたくなるような顔をしていた。
 瞼を閉じて、シンジに全てを委ねている。
 微笑むように開かれた唇からは、曲の上を滑るような声が紡ぎ出されている。
 二人が作り出すハーモニーに、レイがつけいる隙は無かった。
 だから話しかける事も出来なかった。
 ぐっと…、立てた爪が腕に食い込んで、レイは初めて自分が体を抱きしめている事に気が付いた。
 あれは…、あそこに居るのは、と。
 ああして歌っていたのは、以前は自分であったのに、と。







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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

Q'Genesis Qnaryさんに許可を頂いて私nakayaが制作しているパロディー作品です。
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