Evangelion Genesis Real
Evangelion another dimension real:12+


「加〜持さん!」
 ドアを開けて覗きこむ、いつものデスクに姿無し。
「あっれぇ?、どこ行っちゃったんだろ、加持さん」
 とか言いつつ、鞄の中の携帯電話を取り出す。
「ん?」
 ふと、つきっぱなしのモニターが気になった。
「え〜となになにぃ?、えーーー!」
 惣流・アスカ・ラングレーのパーソナルデータが表示されていた。
「なんでなんでぇ?、どうしてあたしのデータが…、ん?」
 父親の欄に名前が記入されている。
「パパ?、え!?」
 精子提供者との備考付き。
「どうして…、どうしてあたしのパパが…」
 それは知っている名前だった。
「どうしてあたしのパパが、碇司令と同じ名前なのよぉ!」
 アスカの足元で何かが崩れた。

「アスカぁ、帰ってるんでしょ?、ごはん…」
「うっさい!、いらないわよ!!」
 すごすごとシンジは引き下がった。
「なぁにぃ?、またケンカしたの?」
 いつものように、キッチンでビールを空けてるミサト。
「そうみたいです…」
 シンジは首をひねりながら答えた。
「なに?、それ」
「わからないんです…、僕、また何か気に障ることしたのかなぁ?」
 重傷ねぇ…
 くぴっとミサトはビールをあおった。
「ま、悩んでてもしょうがないし、お腹減ったら出てくるわよ、先に食べましょ?」
「そうですね」
 シンジはいつものことと割りきって、ハンバーグに箸をつけた。

「うそよ、絶対嘘だわ、あのバカシンジとあたしが…」
 同じ血…、いえ、同じ遺伝子を持って生まれてきただなんて!
 ベッドの上、アスカはうつぶせになって枕で頭を押えていた。
「あたしとあいつが姉弟?、ええ!?、ちょっと待ってよ!?」
 シンジの誕生日が6月6日、んでもってあたしが12月4日生まれで、あいつとあたしは同級生…、これの意味する所は…
「うそよ!」
 思いっきり枕を投げる。
「あいつがあたしのお兄さんだなんて!」
 アスカはたまらず叫んでいた。

「どうでした、ミサトさん?」
「なんだかお兄さんがどうとか叫んでたけど…」
 何かに思い当たるはずもなく、ミサトはただただ無駄に悩んだ。
「でも、どうしましょうか、これ…」
 テーブルの上にハンバーグ。
「アスカでしょ?、作れって言ったの」
「はい…」
「じゃあおいとけば?、でないとまたふくれるわよ?」
「そうですね、わかりました」
 とりあえずラッピングする。
 それを冷蔵庫へ入れてから、シンジは炊飯器の中のご飯をボールへ移した。
「どうすんの、それ?」
「鮭茶漬けでも混ぜておにぎりにします、アスカの分が残っちゃったから…、あしたのご飯も炊かなきゃいけないし」
「すっかり主夫が板についたわねぇ?」
「……」
 無言のシンジ。
「いま、あたしかアスカが代わってくれれば良いのにって思ったでしょ?」
「アスカには内緒ですよ?」
「わかってるわよん」
 手をぱたぱたと振ってミサトは答えた。
 ジーーー…
 それを柱の影から見つめる瞳。
 くるっと回って部屋へと戻る、その流れた髪が、一瞬シンジの視界に入った。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いま…」
 気のせいかな?
 シンジはそう思うことにした。

「何よ何よ何よ!」
 バカシンジ!
 バンっと枕を投げつける。
「鈍感で無神経でその上…」
 くぅっと可愛らしくお腹が鳴った。
「……」
 一人で赤くなる。
「あ〜あ、ハンバーグ、楽しみにしてたのになぁ…」
 おいしそうだったなぁとベッドに転がった。
 コンコンコンっとドアノック。
「…アスカ?」
 シンジ!?
 がばっと跳ね起きる。
「ななな、なによ!」
 聞かれたのかと、一人で焦る。
「あ、ごめん…」
 ドアごしに謝るシンジ。
「あ、あの…、おにぎり、作ったから…」
 入り口に置く音。
「いらないわよ!」
 ドン!っとドアを叩く。
「ご、ごめん…、それと」
 なによ、まだ何かあんの!?
「ハンバーグ、なんだけど…」
 さすがにピクっと反応する。
「ラップして、冷蔵庫に入れてあるから…、ソース別にして作ってあるし…」
「わかってるわよ!、一緒にフライパンで温めろってんでしょ!?」
「うん…、…ごめん、邪魔して」
 シンジの足音が遠ざかっていく。
「バカシンジが!、なんであんたが謝るのよ!」
 もう!、あたし何に対して怒ったらいいんだか、全然まったくわかんなくなって来たじゃないのよ!
 アスカは頭をかきむしった。
「どうしてこう、余計なことばっかりするのよ!」
 ミサトとバカにしてたくせに!
 ハンバーグが脳裏を過る。
 くぅ…
 またお腹が鳴った…
「……」
 ドアをじっと見る。
「ま、まあ、おにぎりに罪はないわよね?」
 バツが悪そうに、アスカは自分に言い訳した。
 そっとドアを開ける、右を見て、左を確認し、アスカはそれからおにぎりの乗った皿を取った。
「ちゃんとお茶まで用意してさ…」
 きゅうすと湯呑み。
 お茶を注ぐと温かかった。
「ん、おいし…」
 指に付いたご飯を舐めとる。
「…考えてみれば、別にあいつに罪があるわけじゃないのよね」
 お腹がふくれたせいだろうか?
 少しばかり険が取れる。
「悪い事しちゃったかな?、あいつに…」
 あんなに怒鳴っちゃって…
 またも思い出すのはハンバーグだ。
「ちゃんと作ってくれたのに…」
 怯えた声が耳に響く。
 あたしって、いつも怒ってばかりだ…
 怒鳴ったり、叩いたりと。
「なのにあいつ…」
 温かいお茶と、三角形のおにぎりがありがたかった。
「抜けてるんだか、優しいんだか…」
 良いとこもあるのよね…
 いつでもシンジは、アスカのことを気にかけている。
 お兄ちゃん、かぁ…
 ちょっとだけ頬がほころんだ。
 だがアスカはすぐにその考えを振り払った。
「な、なに馬鹿な事考えてんのよ!」
 何度も首を振って否定する。
「ばかシンジは、ばかシンジで、一生ばかシンジで良いんだから!」
 一人で悶え悩むアスカだった。

 気が向いたら続く


「いやぁ、リッちゃんにしては面白い物作ったなぁ」
 缶コーヒーを手に持って、加持は部屋へと戻ってきていた。
「残念、これ、ミサトのアイデアよ?」
 ディスプレイを見るリツコ。
 加持はキーボードを叩いて、さっきアスカが見たデータを呼び戻した。
「人工進化シュミュレーションプラグラムを改良してみたの」
「しっかしまぁ、司令とアスカの母さんを掛け合わせて遊ぶとはね」
 遺伝子提供者の欄をクリックする。
 と同時に、MAGIから膨大な数のネルフ関係者のデータが送られてきた。
「ミサトがね?、シンジ君とアスカを見てて、どういう親から生まれればこれだけ違う人間になるんだろうって言い出したのよ」
 どうせ足して二で割った遺伝子ならちょうど良いとか言い出したんだろうな…
 加持のその読みは当たっていた。
「で、この「生まれてくる子供の生年月日と血液型」ってのは?」
 BLOOD TYPEをAからOに変更してみる。
 するとアスカの顔写真が微妙に変化した。
「あら?、星座と血液型は性格と容姿を決める重要なファクターよ?」
 クスリと笑う。
「まさかリッちゃんからそんな言葉を聞くことになるとはね…」
 肩をすくめる。
 リツコはそれについても補足した。
「監修はマヤなのよ」
 納得。
「しかし下手に遊んでいると、司令に怒られるな、これは…」
 プログラムを終了させる。
「そうね」
 リツコも同意。
 加持はバレないうちにと、端末の電源をプチンと切った。

 そんな事とはつゆ知らず、アスカは妄想を暴走させていた。
「そうよ、あいつがあたしと同じ遺伝子を持ってるってんなら、やればできるってことじゃないのよ!」
 あんな情けない奴があたしの兄貴だなんて、そんなの絶対に認めないんだからね!
 アスカはせめてと、シンジの改造計画を発動させた。

 次回、GenesisReal Episode:12話辺りと+1
「ぼんくらシンジ!」

 先を考えてなかったから続く…わけないのねん☆







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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

この作品は上記の作品を元に創作したお話です。