その頃、第三新東京市ではちょっとしたもめごとが起こっていた。
(だから、あたしがリーダーになるって言ってんのよ!)
(却下ね)
(なんでよ!)
(そや!、おまえみたいなんにやらせとったら、何やらされるかわからへんわ!)
(あなた、必要ないわ)
(むっきー!、シンジもなんとか言いなさいよ!)
(彼女に必要なのは理知的な判断力と言う事さ、シンジ君は悪くないよ)
どういう意味よ!
 切れるアスカ。
 その間シンジは、大切な人と話し込んでいた…


 金色の世界の中で、ゆっくりと瞼を開くシンジ。
 そこにはやはりレイが居る。
 だが彼女は栗色の髪をしていた。
 碇君…
 それはゲンドウが初めてユイと出会った時の光景に似ていた。
「これが…、教えてくれたの」
「これって?」
 インターフェイスじゃないか!
 シンジは『皇帝・レイ・エヴァンゲリオン』に驚きの目を向けた。
 頷くレイ。
 それは消失したはずのインターフェイスだった。
「不安だったの…、わたしの中にあるわたしの気持ち」
「気持ち?」
 インターフェイスを、シンジの髪に取り付ける。
「そう、それは確かにわたしの想いのはずだった…」
 包まれる安心感、包んでくれる優しさ、触れてくれる安らぎ…
「でもそれは誰かが与えてくれたはずのものなのに、その人のことを思い出せない自分が悲しくて…」
 レイはシンジにすがりつく。
「わたしは、なに?」
 その細い肩に手をかける。
「君は…、僕と同じだね?」
「え?」
 レイは驚きの顔を向けた。
「言ったよね?、いつか本当に生まれるはずのレイだって…」
 シンジは穏やかに話しかける。
「ほら、お母さんが呼んでる…」
「お母さん?」
 何かを探すように空を仰ぐ。
「あなたは、これから生まれるの」
「レイ…」
 彼女の向こうに、セカンドが姿を現わした。
「わたし、また生まれるの?」
 彼女を抱きしめてやるレイ。
「あなたは種なの」
「種?」
「あなたはわたしではないわ…」
 レイはシンジにも伝えていた。
「わたしの、そして沢山の人の想いを受けてとって生まれる、あなたなの」
「わたし、生まれるの?」
 そうよ?と答える。
「そのきっかけは凄く簡単で、そして…」
 レイは片手を下腹に這わせた。
 その動きを目で追って、急に赤面してしまうシンジ。
「きっかけって…、まさか!」
「そうよ?」
 シンジに向かって、当然のように頷くレイ。
「あなたが、わたしの種を咲かせてくれるの」
「ちょっと待ってよ、そんな!?」
「想い合う心は、形になるものよ?」
「形?」
 小首を傾げるもう一人のレイ。
「そう、形、あなたと言う形、愛の結晶…」
 シンジがばたばたと慌てている。
「その時までは、とても寂しいかもしれないけれど…」
「ちょっとってば!」
「いいえ、エヴァンゲリオンがある限り」
「ええ、何度でも会えるから」
 うん…と、目尻の涙を拭うレイ・エヴァ。
「待っているわ」
「お願いだから僕の話を聞いてよぉ!」
 だが二人は完全にシンジのことを無視していた。


(うわああああん!)
(え!?)
 シンジは急にわめき出した。
(ちょ、ちょっとシンジ!?)
(わかったよ、やるよ、やればいいんだろう!?)
(こら!、なに勝手に仕切ってんのよ!)
 そんなアスカを抑えるカヲル。
(まあ、いいじゃないか)
(そうやな、シンジやったらまあええやろ?)
(そうね…)
 更に二人も同意した。
(ああもういいわよ!、だったら勝手にしなさいよ!)
 言いながらも身構える。
(それじゃあ、行くよ、みんな!?)
(おう)
(ええ)
(そうだね?)
(分かったわよ!)

新世紀戦隊

エヴァリオン!





でも五体合体だけは絶対に嫌ボソ



[BACK][TOP]