NEON GENESIS EVANGELION
Genesis Q':65
「わかった、君も早く帰るように」
負け惜しみのように言ってから背を向ける。
シンジはその背中に対して胸をなで下ろした。
…大した人じゃなくて良かった。
加持やミサトを相手にするより、よほど分かりやすい相手だった。
なにしろ感情のままに動くから。
「帰ろう…」
それでもやはり酷い事を言ったのは確かだ。
気分は重苦しいものになる。
家に帰る迄には、今の気分を昇華しなくてはいけない。
特にレイにはバレないように。
「うわああああああああああ!」
悲鳴が聞こえた。
「え?」
先程まで言い争っていた男の声だった。
迷ったが、駆け出した。
住宅地だ、無人ではないのだから今の悲鳴を聞いた近所の人とているだろう。
道の真ん中に彼は立っていた。
ぬぼうっと立っているのだが、上半身が安定せずにふらふらしている。
「…あのぉ」
シンジは近付こうとしてとどまった。
背筋を駆け昇る悪寒、全身に鳥肌が立つ。
なに?、これ…
恐いと言う感情が沸き起こる。
男がくるりとコマのように回転する。
真正面から見た彼には何かが張り付いていた。
なんだあれ!?
胸に青い勾玉のようなもの。
それを中心に緑色の根だか枝だかが体の前面を這っている。
顔が見えない、覆われている。
ドクン…
勾玉の周りは瘤のように盛り上がっていた。
眼球のように勾玉が濡れた光をシンジに見せる。
なんだよこれ?、なんだよ!?
シュル!
根が腕を這って人差し指から爪のようにシンジへ伸びた。
「うわっ!」
キュイン!
シンジの正面で何かに当たったかの様に軌道が逸れた。
顔を狙った攻撃が、シンジの肩を軽く擦った。
いったいなんなの?
理解の範疇を越えている。
逃げなくちゃ、逃げなくちゃ!
だが足が震えて動かない。
再び指先が向けられる。
さっきはどうして曲がったんだろ?
殺されていてもおかしくは無かった。
でもまだシンジは生きている。
僕は生きてる?
どうしてだろう。
急に視野が広くなる。
化け物以外のものが目に入る。
マナ!?
「浩一に言われて張ってたんだけど、正解ね?」
今まで何処にいたんだろう?
知った顔に余裕が生まれる。
シンジの前に周り込むマナ。
その手にはライフルが握られている。
「…まるでケンスケみたいだ」
「あっちが真似してるんだけどなぁ…」
意味不明の苦笑を漏らす。
「シンちゃん、逃げられる?」
「え?、あ、だめだよ、マナは…」
「あたしなら大丈夫、ターゲットはあたしじゃないみたいだから」
「それって…」
僕が狙われているって事なの?
シンジは何が何だか分からなかった。
続く
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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
Q'
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Genesis Q
の
nary
さんに許可を頂いて私
nakaya
が制作しているパロディー作品です。
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