NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':81 


 家に電話を入れて、シンジ、アスカ、レイの三人はファミレスに立ち寄った。
 時間が時間だから、と言うのもあったが、ジャンボチョコパフェ(1500円)と言うのにレイ達が引っ掛かったと言うのもあった。
 ちなみに食べ切ればタダである。
「こうなったら、食べても帯ぐらい締められるって証明してやるわ!」
「で、なんで僕まで付き合わなくちゃいけないのさ?」
 目の前のバケツのような物にさめざめとする。
「良く食べるねぇ…」
「別腹って言葉知ってる?」
「太るよ?」
「「ぐっ…」」
 再起動はレイの方が早かったようだ。
「いいもん、どうせ栄養に回らないんだから!」
 自棄食い。
「その時はシンジ!、ちゃんとダイエットに付き合うのよ!?」
「はいはい…」
 いつものことだから適当に流す。
 ダイエット、か…
 シンジはまたぼうっとした。
 過去アスカに付き合わされて、何度も恥ずかしい思いをした。
 でもなぁ…
(良く言うだろ?、下半身は正直だって)
 だからからかわれるのかな?、でも…
 それを抑えるのが理性。
「シンジぃ、あんた暗いわよ?」
「ま、まさかシンちゃん!、ミズホのことが心配で…」
「なんですってぇ!?、シンジあんたあのクニカズってのに嫉妬…」
「えええええー!」
「え?」
 気がつけば正面で暴走されている。
「なんでよー!、あたしだってしばらく離れてたのにぃ!」
「あたしずっと一緒に居たのにぃ!」
「なんですってぇ!」
「きゃー!」
「えっえっえ?」
「シンジもなんか言いなさいよ!」
「あ、うん…」
 なんだろうな…
 シンジはぽつりと漏らしてしまう。
「ねぇ…、僕って、やらしいのかな?」
「「はぁ?」」
 二人は顔を見合わせた。


「あんたバカァ?、そんな事で悩んでたわけ?」
「あ、うん…」
 シンジはクニカズと話したことを告白した。
「ばかシンジのスケベなんて今に始まった事じゃないじゃん」
「ひ、酷いや…」
「よちよちシンちゃん」
「ってそうやってねぇ!」
「ご、ごめん…、つい」
「にやり」
「飼い馴らされてんじゃないわよ!、まったく」
 ぶちぶちとぐちる。
「ふぅん、でもちょっと意外かな?」
「なにが?」
「だってシンちゃん、そういうことにちゃんと興味あったんだ」
 うりうりと爪先でシンジの足を蹴る。
「なによそれぇ、見たまんまじゃない」
 う〜んっとレイは腕を組んでのけぞった。
「なぁんかシンちゃんって、そういうとこ恐怖症っぽい感じあるし…」
「そ、そっかな?」
「普通男の子ってぇ、これだけ誘っちゃえば、ねぇ?」
 と隣に尋ねる。
「あたしに聞くんじゃないわよ…、それともレイぃ?、あんた身に覚えがあるのかしらぁ?」
「あるわけないでしょ?、アスカじゃないんだから」
「なんですってぇ!?」
「ぷいっ」
 うう、だからなんでそうケンカばっかり…
「で、でもさ?、レイの話しって本とかで読んだって話しじゃないの?、ね?」
「ううん、相田君とか鈴原君はそうみたいだけど?」
「ケンスケ!?」
「相田!?」
 二人の脳裏にゲンドウ張りにポーズを決めて眼鏡を光らせるニヤリケンスケが見えた。
「そ、そんな、裏切ったな!、三バカトリオの鉄則とか言ってたくせに僕を裏切ったんだ!」
「でも鈴原君もだからぁ、シンちゃんが置いていかれただけとか」
 グサッと刺さる、なにかが。
「あ〜あ〜、ダメよレイ、シンジってこういう冗談通じないんだから」
「てへ」
「うう、酷いや、僕真面目なのに…」
「真剣かどうかって言えば、鰯水君とか本気で聞いて来るよぉ?」
「え?、なによそれ」
「シンちゃんとはまだなんにもありませんよね!、って、あんまり可哀想だから「Bまで」って教えてあげたけど」
 あああああ、頭痛いよ…
 後頭部を抱える。
「シンジぃ、あんたいつか絶対ヤられるわね?」
「うう、僕からしたわけじゃないのに」
「じゃあしよう!」
「ま、初めてがレイじゃねぇ…」
「むぅ…、どういう意味よ!」
「ものたんないとかぁ?」
 胸を見てニヤッと笑う。
「ふ、ふえええええーん!」
 食べる勢いが早くなる。
「ま、どの道このままじゃシンジが何かするなんて「絶対に」ありえないわね?」
「そんなぁ、言い切らないでよぉ…」
「あたしってそんなに魅力ないの?」
 少なくともうるうるとさせてる瞳にはあるだろうが。
「レイ?、あんたシンジがあたしやミズホとしちゃったらどうするのよ?」
「…う〜ん、落ち込む、かなぁ?」
「あたしはいいわよ?」
「え?、そうなの!?」
「取り返す自信があるもの、でもシンジは耐えられないでしょうね?、とっかえひっかえ出来るほど酷い人間じゃないから」
「そうよねぇ…」
「…それじゃあまるで、僕が誰でもしちゃう様な奴なら良かったって感じじゃないか」
「ま、そういうとこが良くも悪くもシンジって事よ…、ってあんたも良く食べるわねぇ?」
 アスカはもう諦めたようだ、素直に千五百円出せばいいだけの話しである。
「う、気持ちわる…、あたしちょっと行って来るから、シンジ、払っといてね?」
「アスカって、飲み屋で支払い逃げちゃうタイプ?」
「ばか!、後で払うわよ」
「えー?、今払ってよぉ、僕も足りないんだから」
「え?、あたしも持ってないから、シンちゃんに借りようと思ってたんだけど」
「嘘!?」
「だってシンちゃん、今日お小遣い貰ってたでしょ?」
「お昼に口座に入れてたの見てたじゃないか」
「え?、そだっけ」
「ちょっと!」
 アスカは二人の顔を引き寄せた。
「あんた達、財布の中いくらあるわけ?」
「そんなに…」
「ゼロ」
「レイ…、あんたねぇ」
 口元が引きつる。
「あたしだって帰って来たばっかで、電車賃とかで使っちゃったのよ!」
 マズイ…
 冷や汗が流れる。
「レイ…」
「なに?」
「がんばんなさい」
「はぁい」
「あたしも頑張るから…」
 自然と二人の目はシンジに向く。
「え?、ぼ、僕もなの!?」
 ニマッと笑みを広げるアスカ。
「あんたぼうっとしてて全然食べてないでしょう?」
「ま、パフェだし、簡単に吐き戻せるからダイジョブよ!」
「そんな、無茶だよ!、出来るわけないよぉ!」
「問答無用!、や・る・の・よ」
「酷いやぁ…」
 涙が溢れる。
 この後、腹を壊して上から下から忙しかったシンジが、「あ、電話を掛けて迎えに来てもらえば良かったんだ」と気がついたのは別の話しである。



続く







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