NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':92 


「あれ?、ケンスケ、お風呂こっちだよ?」
 シンジが指差したプレートには、大浴場と書いてある。
「俺達が入るのはこっちだよ」
「こっちって…」
(混浴じゃないか)
 ジト目で睨む。
 ついでに足首をスリッパで掻く。
「嫌か?」
「恥ずかしいよ…」
「うるさい、俺はこっちが良いんだ」
「あっちの浴場に行こうよ、ね?」
「だめだ」
「な、なに笑ってんだよ?」
 しかも馴れ馴れしく腕が回される。
「いいか、シンジ二等兵」
「に、二等兵?」
「お前は餌だ」
「え!?」
「大丈夫、お前はただ釣ってくれるだけで良いんだ、後は俺が上手くやる」
「なんだよそれ!」
「幸いお前は女の子ウケがいい、なぁにいつもの調子で笑ってくれてればいいんだよ」
「やだよ!、なんだよそれ?、冗談じゃないよ!」
「きっさまー、上官に逆らうつもりかぁ!」
「なんだよ、女の子と一緒に来てるんだろう?、それでいいじゃないか!」
「その慌て方…、さては!」
「何だよ!?」
「そうかそうか、惣流達が入ってるんだな?」
「違うよ!」
「わかった、行くぞ、お前が来なくても俺は行く!」
「なんでそこまで…」
「嫌味か?、それは嫌味なのか!?」
「見つかったらどうするんだよ?、アスカ達に殺されちゃうよぉ!」
「うるせー!」
 行くぞ!、っと結局首根っこを引っ張られる。
「男の友情なんて…、得したこと無いよ」
 さめざめと涙を流してしまうシンジであった。


Neon Genesis
Evangelion
GenesisQ'92
「おさがわせプリズムレディ」

「…いいお風呂ですね」
 モジモジとしている薫。
「いいお風呂ねぇ…」
 疑問符付きの和子、お湯を見る、崩れた天井の上に積もっていた埃や、瓦礫と化した木片などが浮かんでいる。
「静かですよね?」
「…そう?」
 またしても上を見上げる。
『じゃあああああああああんけん、ほいっ!』
『あっち向いて…、首吊ったぁああああああああ!』
「二人っきり…」
「あたしが居るんだけど」
「和ちゃん、うるさい…」
 ジト目で睨む。
 ちょっぴり大胆にタオルも無しでカヲルの腕に組み付き座っているのだが、肝心のカヲルは無反応な上に浴衣を羽織ったまんまである。
「…先輩、耳からなんか垂れてない?」
「カヲル君のだから汚くないもん」
「あ、そう…、じゃなくて」
(恋は盲目、か)
 怪我の心配はしないのかと…、親友であるはずの人物に改めて恐怖する和子であった。


「はずかしい」
「ふ、網を張るなら肩まで浸かれ、でなければ寝ろ!」
「まあそう言うな碇」
「冬月先生」
「いいかシンジ君、自然体が一番だ」
(大人はみんな汚いんだ)
 確かに好々爺然としている冬月は、女子大生にとっても話しかけやすいようだった。
 それに対して不機嫌なのはゲンドウである。
「…何故だ」
「髭がいけないんじゃない?」
「何を言う!、ユイは…、いや、やめておこう、シンジ」
「なんだよ?」
「裏切りは許さん」
「……」
 軽蔑の眼差し。
 ちなみにケンスケは。
「はーなーせー!」
 カメラ所持の入浴を試みた揚げ句、黒服に連行されていってしまった。
「離せ政府の手先めぇ!、ぶっとばすぞぉ!」
 ちなみに彼らは単なる従業員である。
「でもほんと、ここって色んなお風呂があるんだね?」
「ああ…」
 先程のシンジの言葉を気にしたのか?、ほっかむりを被って髭をタオルで隠そうとしている。
「だがほとんどが露天の混浴だからな?、それに宿の意向で水着は禁止だ、だから女性は余り楽しめんそうだ」
「父さん…」
「なんだ?」
「なんで」
「言いたい事があるなら早くしろ!」
「じゃあ…」
 意を決して口にする。
「なんでサングラスかけてるのさ?」
 ふっといつもの笑みが浮かんだ。
「秘密だ…」
「そう…、あ」
 すいーっと冬月&女子大生軍団へと旅立つゲンドウに声を掛ける。
「後で貸してね?」
「お前も好きだな」
(やっぱりか)
 ミズホの眼鏡同様に、なにか怪しい機能でもあるのだろうと当たりをつけたシンジであった。






「うん、うん、こっちは楽しくやってるよ?、え?、父さん…、うん、まあ、あはははは…」
 風呂から出たシンジは、「あ、そうだ」と思い出したように家へ電話を掛けていた。
「え?、うん、お風呂に入ったまま出て来ないんだ、父さん…、へ?、あ、か、母さん?、なんだよ、何笑ってるんだよ、母さんってば!、あ…」
(切れちゃった…)
 受話器を戻す。
 まだ耳に『ほほほほほ』と平坦な笑いがこびりついているのだが気にしないことにしておいた。
「あっ、シンちゃん!」
 ビクッと背中がまっすぐになる。
「…レイ」
 恐る恐ると振り返り、恐怖にびくついた声で「終わったの?」、と問いかけてやめておいた。
「何やってるのさ?」
「追加、だって切れちゃったんだもん」
 両手に酒瓶の入った袋を抱えている。
「よかったぁ、あたし一人じゃ『足りない』ところだったしぃ」
「へ?、…まだ買うの?」
「アスカはおつまみ買いに行ってる」
「…凄いね」
「ほんと、これだけ飲んでまだ食べるんだから」
(レイも同じじゃないか)
 言いかけてやめる。
 突っ込んだが最後だ…、そんな恐怖感が渦巻いていた。
「いい加減でやめておいてよ?、救急車なんか呼ばないからね」
「その時はぁ、シンちゃんに介抱してもらっちゃうぅ」
「あー!、ばかシンジ!!」
「うわっ!」
「なにこんなとこでいちゃついてんのよ!」
「ご、誤解だよ」
「いいから!、さっさと帰るわよ、まったく、逃げるなって言ったでしょうが!」
(覚えてたのか…)
 なんでこんなに酒に強いんだろうと嫌になる。
「ほらっ、早く行くわよ!」
「はいはい…」
 渋々と言うか嫌々と言うか…
「待ってってばぁ!」
 慌てたレイにも腕を組まれて、シンジは部屋へと連行された。


「さあ、勝負再開よ!」
「わかってる!、62%で蹴りをつけるわ」
 決着がつかないためだろう、二人は勝つ度にアルコールの度数をつりあげていた。
(そのうち死ぬんじゃないかな?)
 見てると恐いので風呂場へ逃げる、二人の視線を背中に感じたが無視しておいた。
「鍵を掛けて、と、パンツは…」
 ちなみに水泳パンツである。
「う、わぁ…」
 わざと電気を消す。
 お湯がぬるめのためか窓は曇らなかった。
「お風呂も広いし、気持ちいいや」
 ゆったりと浸かる、大型の浴室は普通の部屋ほどの広さがあった。
「ホント、みんなで入った方が楽しいのに…」
 まともな状態にはならないだろうな、と思って湯に沈む。
「…膨張してしまった、恥ずかしい」
 やはりシンジも男の子だった。







[BACK][TOP][NEXT]


新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。

Q'Genesis Qnaryさんに許可を頂いて私nakayaが制作しているパロディー作品です。
内容の一部及び全部の引用・転載・加筆その他の行為には
作者である私と原作者naryさんの許可または承認が必要です、ご了承ください。

本元Genesis Qへ>Genesis Q