NEON GENESIS EVANGELION 
 Genesis Q':105 


「「「かんぱーい!」」」
 学校帰りの途中にあるファーストフードショップ『マック』
 その二階窓際の席を、シンジ達は一同揃って占拠した。
「いやぁ、やっぱ世の中顔だよなって思うよ、やっぱり」
「ケンスケがそんなこと言うなんて…」
「ばぁか、やっぱり渚や綾波ぐらい差があるとな、何年写真撮ってると思ってんだよ」
「うれしいねぇ」
「ありがと☆、でもおだてても奢りって話はなくならないからねぇ?」
「わかってるって」
 面子はシンジ、アスカ、レイ、カヲル、ケンスケ、トウジ、ヒカリだ、それに薫と和子も便乗してしまっている。
「でもいいんですか?、あたし達まで」
「そう言う遠慮は余計に失礼だっての」
「…和子ちゃん、欲張り過ぎ」
「そう?」
 遠慮なく注文している和子である。
「いいよいいよ、今更二人分ぐらい増えても変わらないから」
「どういう意味よ」
 剣呑な表情を作るアスカ。
「んなもん、わかりきっとるやんけ」
「う…」
 アスカ、レイ共にトウジと同量…、つまりヒカリの倍は注文している。
 バーガーだけでも4つ、小食派の薫はシンジが同じ一個なので安心していた。
 それぐらい付き合いで食べないといけないのかと、カウンターで少し困ったりしたためである。
 ちなみに今日はケンスケの副収入の『還元』も兼ねていた。
「でもよかったじゃない、お客さん一杯来てくれたんだから」
「あの内の何人が同好会に入ってくれるかだよなぁ?」
 指折り数えるケンスケ。
「カヲル君が居るなら入ってもいいんだけど…、楽器なんて弾けないし」
 おずおずと薫は口にする、だがそれは大半の人が思う事だろう。
 中学と違って、高校では吹奏楽同様に『前もやっていたから』と言う人間でないと寄り付きが悪いのだ。
「そんなの弾けなくてもいいんだけどなぁ」
「え?」
 ケンスケはいつものカメラを薫に構えた。
「人数集まれば部に昇格できるって言うのが狙いだし、第一渚や綾波目当てで入って来る連中に真面目な部活動なんて期待してないよ」
「そうなんですか?」
「それに女の子なら、何人かで集まって歌ってくれりゃ、演奏はこっちで何とかするし、なぁ、シンジ?」
「え?、僕はいいけどさ…」
「なんだよ?」
「だって、ね…」
 シンジは先程の様子を思い返した。
 バラードになると突然聞き入るようとろんとした目を向けていた女の子達などを、だ。
「そうですよぉ、綾波さんやカヲル君の歌聞いちゃうと、歌うのって結構勇気いりますよ…」
 うま過ぎるのだ、対照が。
「音痴でなけりゃどうにでもなるけどなぁ」
「あんたは単に、売り込める女の子が欲しいんでしょうが」
「ま、ケンスケやからなぁ」
「どういう意味だよ」
「そう言う意味よ!」
「まあ、あたし達はその前に合格しないといけないから…」
「そうね、カヲル、あんたこの子達の家庭教師でもしてあげたら?」
「え!?」
 あやうくバーガーを取り落としかけるカヲル。
「何驚いてんのよ?」
 軽い気持ちで口にしただけに、アスカの方が引いてしまった。
「い、いや…、僕は人に教えられるほど勉強しているわけじゃないからねぇ」
「学年トップ集団の内の一人が何を言ってんのよ」
 アスカは呆れた口調を漏らした。
「芸能科のくせして勉強も出来るからってんで、進学科には目を付けられてるのよ、こいつは」
 持ったポテトで指を差す。
「そうなんですか?」
「それは初耳だねぇ、本当かい?」
「プライドの塊みたいな連中だもの、そりゃ直接あんたの所には行かないでしょ」
 何故だかげんなりとした顔で言う。
「何かあったの?」
 心配するシンジ。
「ほら、ミズホもレイもあたしも、そこそこいい点数取ってるでしょ?」
「俺の所にも聞きに来たぜ?、どんな勉強やってるのか聞き出してくれって」
「お前ら一緒に住んどるさかい、なんやあると思とるんやろ」
 トウジの言葉に肩をすくめるアスカ。
「ばかよねぇ?、そんないい方法があるんなら、とりあえずシンジをどうにかしてるわよ」
「悪かったね、成績悪くて」
 ブスッくれるシンジ。
「ままま、その代わりシンちゃんには特技があるんだから、ね?、ギターとか」
「ほんとにあんた、芸能科に行って良かったわねぇ?」
「ちえ…」
 口を尖らせたシンジをくすくすと笑った後で、改めてアスカは二人を見た。
「でも、ま、カヲルの成績がいいのはホントのとこだから、暫く見てもらえば?」
「僕は普通に受験したわけじゃないからね、傾向と対策なんて分からないよ」
「いいからいいから、あんたは毎日教えに行ってあげなさいよ!」
 アスカの台詞にカヲルは目を細める。
「…どうしてそう、僕を遠ざけたがるんだい?」
「そりゃカヲルって邪魔だもんねぇ?」
「あんたがいなくてもシンジの面倒はちゃんと見てあげるわよ」
「アスカは苛めるだけでしょ?、愛情表現が子供並みなんだから」
「いいのよ、シンジだってその方が嬉しがるし、ねぇ?、シンジ」
「そんな分けないじゃないか…」
「なんですって?」
「なんでもないよ!」
「あのぉ…、仲のいいとこ悪いんですけどぉ」
 遠慮がちに割り込む和子。
「カヲルくんの家庭教師かぁ…」
「ってこの子、もう逝っちゃってて」
「カヲル、あんた逃げたら泣くんじゃない?、この子」
「僕には選択肢が無いと言う事かい?」
 と言う感じで、見るも大袈裟にカヲルは肩を落とすのだった。



続く







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