ドグゥワァン!
 がらがらと崩れ落ちる壁面にびっくり顔のシンジ。
 レイも四つ足で威嚇の声を上げていた。
「な、なんだこりゃ!?」
 壁をぶち抜いて来たのは冷蔵庫だった。
「ばぁかぁ、シンジぃ〜……」
 おどろおどろと出て来るアスカ。
「あ、アスカ! なんてことを……」
「なんてことをじゃ無いでしょうが!」
 アスカはシンジにつかみかかった。
「あんた犬畜生相手になに興奮してんのよ!」
「酷いや! 聞いてたなんて!!」
「聞いてたんじゃないわ、聞こえちゃったのよ!」
 バレバレな嘘をつく。
「だ。だからって、こんな……」
 シンジは大穴の開いた壁を見た。
「うっさいわねぇ、男が細かいこと気にしてんじゃないわよ!」
「気にするよ! 追い出されちゃったらどうすんだよ」
「他のアパートに越せばいいだけでしょうが!」
「……そんなお金、あるわけないじゃないか」
 シンジは顔を伏せた。
「え?」
 怪訝そうにするアスカ。
 そう言えばこいつ、なんで叔父さん家を出て、こんな所に居るのかしら?
 アスカは首を捻ってしまった。
「……帰ってよ」
「え?」
「帰ってって言ったんだよ!」
 シンジはアスカを突き飛ばして、自分の部屋に飛び込んだ。
「ちょ……バカシンジ!」
 シンジを追いかけようとするアスカ、その間にレイが割り込んだ。
 ジッ……。
 赤い瞳がアスカを射貫く。
 うっ……。
 金縛りにあうアスカ。
 レイはそれ以上何も訴えずに、シンジの後を追っていった。

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