「三学期だねぇ……」
「そうねぇ?」
「もうすぐ三年生だねぇ」
「そうね……ってなにブルーになってんのよ?」
はぁっと溜め息。
「いや、もう受験生なのかと思うと」
「ま、あたしには関係無い話しだしね?」
「……ずるいや」
「こう見えても博士号と教員免許だって持ってんのよ!」
「……じゃあなんのために中学、いやその前にドイツで取った教員免許って、日本で意味あるのかなぁ?」
「大丈夫なんじゃない? 大学の講師の口ならいくらでもあるんだから、高校だって……」
「そう、もう高校なのね」
「綾波?」
いつの間にバックを!? と思って焦ったが、良く考えればまだ登校途中である。
「綾波は学校どうするの?」
「……問題無いわ」
「も、問題って……」
「問題、無いもの」
ニヤリ。
「あ、そ、そう……」
くっくっくっと無気味に笑う姿に不安が過る。
「ま、まあやっと中学三年生だもんね! まだ考える時間は」
「あっまーい! 勉強ってのはいつしたって遅いって事は無いのよ!」
「そりゃアスカはデキがいいからさぁ……」
「そう思うんだったら努力しなさい!」
「え〜〜〜」
「……なに嫌そうにしてるのよ?」
「だってぇ」
「あんた浪人してもいいっての!?」
「碇君の面倒はあたしが見るもの……」
「あんた面倒見てもらってる方じゃない!」
「あなたじゃだめ、あなたは碇君から遠ざかるもの」
「なんでよ!」
「クラス替え……」
「え!?」
「あ、そっか、うちの中学って三年生は受験に合わせて学力順にクラスを分けるんだよね?」
「なんですってぇ!?」
こんな所で学力トップが災いしようとは、露とも思わなかったアスカであった。
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