「なんや夫婦愛人揃って登校かいな」
「はは、トウジおはよう、……なにやってんの?」
迎撃体勢を取っている。
「何て……惣流はどないしたんや、惣流は! いつもの「誰が夫婦よ!(ぽっ)」っはどないしてん!」
「(ぽっ)って……アスカなら」
「どわ!」
どなどなどぉなぁ、ど〜な〜
「バックミュージック付きとはやるやないか!」
「と、トウジ!?」
め〜らぁ、め〜らとぉ、燃えぇるぜ、え〜くすたしぃ♪
「……なんで吉本新喜劇、いやある意味正しいのかもしれないけど」
「やめられまへん! 勝つまでは!」
「何にだよ」
「それよりシンジ、どうかしたのか?」
「あ、ケンスケならもう知ってるよね? 三年のクラス分け」
「まあ三学期の成績次第だけど、大まかには、……なんだそれでか」
どぉこのだぁれかは、知ぃらなぁいけぇれぇど〜
精神世界のどん底に居るアスカと、とても楽しそうなトウジと、さらにヒカリが頬を染めて巻き込まれている。
「いつのまに委員長まで……トウジと一緒だから嬉しそうだし」
「っと出た出た。ん〜この学校、生徒数少ないからな」
「どんな感じ?」
端末を覗き込む。
「良い子・悪い子・普通の子ってとこだな、もちろん俺達は普通」
「……赤毛は隔離」
「あ、綾波ぃ……」
「どうでもいいけど、綾波もシンジとはクラスが違うぞ?」
「……何故?」
「何故って……綾波、ろくに授業聞いてないだろ?」
「必要があればそうするわ」
「……必要じゃないのか?」
「じゃあ命令があれば」
「自分のためだろ……」
「わたしには、なにもないもの」
「……シンジぃ」
「綾波、僕と一緒のクラスになりたくないの?」
「碇君……」
「なに?」
「わたしと一緒に0点を取りましょう、それはとてもとても楽な事なのよ?」
「いや、そりゃ楽だろうけど……」
「レイ! あんたいいこと言ったわね!」
「アスカ!?」
「シンジ! あんた三学期末のテストで百点取りなさい!」
「無茶言うなよなぁ……」
「無理でもやるのよ!」
「ちなみにシンジの平均点じゃ、いくら点数取っても変わらないぞ?」
「うっ、……ならあたしが点数落とすわ!」
「無理、それは無理な事」
「なによレイ!」
「あなた。バカになるのね、そう、おバカ、それはジャージと同義」
「なんやとぉ!」
「がーん! あ、あたしがジャージと同じだなんて、そんなの嫌ぁ!」
「アスカ、あなたね……」
ヒカリのこめかみが何故だかひくつく。
「碇君と一緒、一緒になるのはわたし、そうもうわたししか可能性は無いもの……」
「シンジぃ、どうするんだよ?」
「じゃあ綾波が頑張ればいいじゃないか」
「……だめなのね、もう」
「諦めるのが早いよ……」
その頃マナがどうしていたかと言うと……。
惣流家玄関。
「すぴよぴよぴよ。すぴよぴよ……」
まだ寝ていた。
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