「アスカー! あたしも手伝ぅ」
 ……とか言い出したのはマナだった。
「だめよ! あんたぞうきんがけ任せたら柱に壁に突っ込んで血まみれになる! 料理やらせたら舌やけどしてパニくって鍋ひっくり返して大やけどする! 洗濯物干させたら目的忘れてじゃれてじゃれて柵越えて落ちる! ろくなことになんないんだからじっとしてるの!」
「え〜〜〜? あたしそんなにドジじゃないのにぃ」
「まったく……向こうにいた頃はもうちょっとマシだったのに。ユルんでんじゃないの?」
「にゃは〜〜〜
「あんまりユルみすぎたら強制収容所に放り込むからね!」

 ── 一時間後。

「……アスカぁ。あれ、どうしたの?」
 布団をかぶってガクガクブルブルと震えているマナが居る。
「なんでもない。たまには緊張感与えとかないとね?」
「ふぅん……」
 気になるんだけど……と思いつつ、箸を動かすシンジである。
 意外と薄情だが……わざわざシンジの目に付くようにリビングの隅でパフォーマンスを計るマナもマナだった。
(強制収容所? 調教でもされるというの?)
 犬の訓練学校を思い浮かべるレイである。
「ところで……おいしい?」
「え? あ、うん……おいしいけど」
「よかったぁ」
 アスカはほっと胸をなで下ろした。
 適当なシャツにミニスカート。そしてエプロンを付けてそんな仕草をしたものだから……。
(か、かわいい……)
 とシンジが顔を赤らめたのも無理からぬことではあったのだが……。
「頭が良くなるDHAとか! ちょっとヤバげな薬とか味が変わらないように混ぜ込むのに苦労したのよね! さっ、どんどん食べて! おかわりもたっくさんあるんだから!」
「…………」
 一瞬でもこの人にときめいた僕の純情を返してください。
 箸をくわえてるるるるーと泣き始めたシンジの肩を、ぽんと軽く叩いたのはレイだった。
「コガネむし〜〜〜はぁ、金持ちだぁ……お金があるから金持ちだぁ♪」
「…………」
 なぜか直球でイヂメられるよりもダメージを感じてしまったシンジであった。

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