「どう?」
彼女は自慢げに振り返った。
それも頭よりも高い位置で、である。
(こういうところも似てるんだなぁ)
それがシンジの感想であった。
「エヴァンゲリオン技術の粋を結集して作られた、『人間ベース』の汎用人型決戦兵器。通称スモール」
連行されたのは神殿の中層部、山の中腹に近い場所にある格納庫であった。
上部を張り出した岩塊に覆われ、足下には内部より流れ出した水が通路を作りそのまま外へと流れ出している。
その直線ぶりは滑走路にあるガイドラインそのもので、事実、そのようにも使用されているようだった。
スモールと同型の機体が五・六機は置けるだけのスペースがある。そしてその機体が駐機できる設計に、シンジはこの区画が機族のために用意されている物に間違いないと確信を得ていた。
(お互い、初対面ってわけでもなさそうだったしな)
床石には、古いものから新しいものまで、機体が付けたらしい足跡が幾つも刻まれている。
アスカの機体に目を戻す。
彼女は機体の肩口に立ち、シンジを見下ろしていた。
どこか弐号機の頭部に似たヘッドタイプに、これもセカンドチルドレンにまつわる型だからなのかな、と考えた。
「どう、って言われてもねぇ?」
うーんと悩むと、アスカは唇をとがらせて、不満げな声を漏らした。
「なによ。文句あるわけ?」
剣呑な目に、そういうんじゃないよとごまかす。
「あるわけがないだろ? ……こいつにどれだけ酷い目に遭わされたと思ってるんだよ」
ふんっとアスカは鼻で笑った。
「よく言うわ……随分と馬鹿にしてくれたくせに」
「酷いって言ってるんだよ」
嘆息する。
「代わる代わる襲ってくれてさ、トイレにも行けなくて、どういうことになったと思ってるんだよ」
「あ〜〜〜」
そう言えばと思い出す。
こいつは何人かで乗っていたなと。
アスカは最大で連続何時間の戦闘を行ったか思いだし、彼らの惨状について思い至ったようであった。
「そっか……あんたらには、パイロットスーツなんて無いのよね」
「そうだよ。トイレパックとか、そういうのはないんだからさ」
けど、と、シンジの同行者について、彼女は思い起こした。
年若い女の子三人ではなかっただろうか?
にまにまと、嫌らしい目つきでシンジを見る。
「けっこう、いい目見れたんじゃないの?」
この子は馬鹿だとシンジは思った。
「見られる恥ずかしさってわかんないの?」
「知らないわよ」
「まあそれも含めての作戦なんだろうけどさ」
アスカはつばを吹き出して反論した。
「そんなことまで含んでないわよ!」
ええ!? っとシンジ。
「計算外の部分で苦しめられてた!?」
「計算してた部分で苦しんでよね!」
ばんばんっと、愛機の頭を叩くアスカである。
「あんたとやり合うために、こっちは実験途中の品まで引っ張り出して来たってのにさ!」
出てくる度に違う装備を持ってくると思っていたらと、シンジは呆れた目をしてアスカを見やった。
ついでに、現在のスモールを眺める。
上半身を覆う装甲は肩の辺りで重さを受け止めるようになっているようだった。
やはり目立つのは背部のユニットである。
今はワニの口のような部品は口を閉じている。戦闘中には気がつかなかったが、その左右の突起物の中央に、エヴァンゲリオンのエントリープラグ挿入口のようなパーツが増設されていた。
このパーツの下からは、背骨を覆うように補強具が伸びて、股間部まで続いていた。
覆いは肋骨の辺りで、サポーターのように脇腹を掴む形で、左右三本ずつの節足を生やしていた。
「これがあのバリアを作ってたもの?」
「バリア? ああ、あれね」
「魔力障壁ってものだって言われたんだけどさ」
ふぅんとアスカ。
「魔力か……あんたは受け入れてるんだ、そういうの」
どういうことさといぶかしむシンジに、違和感はないのかとアスカは尋ねる。
「あんたが本当に四百年前から来たって言うのなら、魔法なんてものはなかった時代から来た、ってことなんじゃないの?」
ああ、そういうことかとシンジは首肯する。
「確かにね。僕が死んだ? 頃まではなかったよ。だけど、あるのなら受け入れるしかないじゃないか」
アスカは「そう?」と言う。
「柔軟なんだ?」
「死にたくないだけだよ」
理解できないからと言って現実から逃避しようとして、その間に取り返しの付かないことになるのは嫌だと言っているのである。
「そう言えば、初戦闘の時って、あんた最初は搭乗をしぶったんだっけ……」
そしてそのまま逃げて、ファーストチルドレンが死亡する……そういう、取り返しの付かないことになるのが嫌で、自分が戦うことにした。
「別にそういう……」
「んで?」
にまにまと笑うアスカに、意地が悪いなと諦める。
「そういう話じゃなくて、使徒だよ、使徒! 死にたくなかっただけだって言ったろ?」
わかってるわよと言う。
「いきなり知らされて、そのまま実戦に投入されたのよね?」
「そういうこと。その後も初めてだらけさ。だから理解できないなら理解するんじゃなくて、そういうものだって受け入れて対処する癖みたいなものがね」
アスカはとんとんっと、機体の背後にあるバックパックの張り出しを足場にして下へと降りた。
機体の足下を回り込みながら言う。
「でもこいつについては? 全然驚いてないみたいじゃない」
「収容されてた施設で、開発計画の話だけは教えてもらっていたからね」
「ああ……ぎりぎりそういうところなのか」
なるほどねと納得する。
「素体が人になっただけ発展してはいるのよ。こいつは、エヴァよりもね」
「人だって、使徒だろうに」
そのつぶやきは小さすぎるもので、アスカには聞こえなかった。
「なに?」
「なんでも……。それで、魔力障壁について教えてくれって言っても、無駄かな?」
「かまわないわよ」
あまりにもあっさりとしていたので、シンジは言っておいて迷ってしまった。
「良いの?」
アスカは肩をすくめる。
「教えたからって、ものにできる?」
「盗んでいくとは思わないの?」
「こいつはエヴァと違って、思考だけで操作なんてできるもんじゃないのよ。挑戦してみる?」
意地悪な質問に、シンジは降参と手を挙げた。
何度かの接触で、アスカが操作しているところを直接覗いている。
両手だけでなく両足まで使っていた。思考操作という形でごまかしている自分ではどうにもならないだろうとわかってしまう。
「今回はでかいのを背負ってきたけどさ」
「そいつが今回のびっくりメカよ」
「…………」
「なに?」
「いやびっくりって」
「どっきりの方が良かった?」
「…………」
「ウケない? おかしいわね。これがジェネレーションギャップってやつ?」
「まあ四百年くらいずれてるわけだけどさ」
そういう問題でもないなぁと、シンジは話が戻るのを待った。
「で、ね。まあ、教えてもかまわないもう一つの理由は、こいつはあんたが乗ってる機体の構造を逆に模したものだからよ」
ぴんと来た。
「オーラコンバーター?」
その通りとシンジの鼻先を指で弾く。
「全部じゃなくて、システムだけだけどね。……だから科学者ってのは嫌いなのよね。発想を飛躍させるためなら、情報を故意に漏らすんだからさ!」
詳しいことまではわからなかったが、言いたいことはわかる呟きだった。
(行き詰まったからって、外に漏らして、なにも知らない連中にいじらせた人間がいるってことか)
シンジは弾かれた鼻先を、右の人差し指と中指でこねるように撫でながら言った。
「理力甲冑騎は、意図的に作るように促されたものなのか」
「もっとも、それをコアとか言うものと結びつけたのは、連中に魔法文化があったからでしょうね」
おや? っと思う。
「コアについて、機族は手を出してないの?」
「ええ」
ねぇ? と彼女は不安げに問いかけた。
「コア。あれ、どう思った?」
それは、シンジが使徒というものを理解しているだろうという、疑いのない思いからの問いかけだった。
そしてシンジは素直に答えた。
「……使徒のコアだろ? そう感じたよ」
じゃあと深いところを切り出す。
「取り込まれるとは思わないの? あれに乗ってて」
うーんとシンジは考える。
「そういう心配はないかな」
「なんでよ」
企業秘密。シンジはそう言ってごまかした。
(カヲル君も気付いてなかったみたいだしね)
なるべくなら中の子のことは知られたくない。
そう考えたのである。
彼女が仲介役を果たしてくれている限り、浸食されるようなことにはならないだろうと思う。
もっとも、その彼女に汚染されてしまう可能性はあるわけだが……。
ふと気がつくと、アスカが拗ねて唇をとがらせ、顔をのぞき込んでいた。
「ケチ」
「あのね」
「ま、いいわ」
後ろに手を組んで、トントントンッと、足先で跳ねて距離を取る。
そして話を魔法に戻した。
「この装備とあんたの乗ってるパッチワークとの違いはね、エネルギー源として吸収しているものの違いにあるのよ」
「オーラ力じゃないの?」
「オーラ力っていう言葉は知ってるけどね。それは概念の域を出てないのよ。そんなものは機族は認めないわ。だから、魔力なの」
シンジは呆れるように言った。
「魔力は認めてるのかよ」
シンジ的には魔力もオーラも同じようなうさんくさいものである。
しかし彼女たちには違っているようであった。
「魔力はね、機械的に検知できるのよ。魔法がなんらかのエネルギーが化学変化を起こして見せている現象なのがわかって、じゃあそのエネルギーがなにかってことで研究が進んで、魔力と呼ばれているエネルギーが発見されたの」
「君たちはそれを利用できるものを開発した?」
「そういうことね。魔力障壁? たぶんあんたが言ってるそれは、それら未知のエネルギーが別の構成へと変換される際に発生する波動のことなんじゃないかって思うけど」
意図して使っていたものではないらしいとわかる。
それは戦闘の際に利用できる情報だが、出力を上げることで意図的に展開できるとなれば話は別だ。
安易に攻撃させるための引っかけなのかもしれないと、シンジは注意しておくにとどめた。
「でもさ」
ひとつ、不思議に思う。
「そんなことを生身の人間がやってるって言うの?」
異形の翼を見上げる。
機械仕掛けとなるとこれだけ大がかりになるものが、人がどこに機関として持っているというのだろうか?
これに対するアスカの返答は簡単なものだった。
「だからわたしたちは、北の世界に住む奴らを正常な人間としては認めていないのよ」
ああ、そういうことかと、シンジはようやく理解した。
「目に見えないエネルギーを構築し直して、不可思議な現象を起こせるような器官や機能を体内に持っているっていうこと自体、奇形だっていうわけなんだね」
理解が早くて助かるわとアスカは言った。
あるいは人扱いしないなんてと感情的にならないことを褒めたのかもしれない。
「いちおう言っておくけど、駆逐しなきゃならないなんて思ってるほど、忌避してるわけじゃないわよ?」
それはそうだろうと思う。
N2があるのなら、彼らにはどうとでもできるはずなのだから。
「でもなんでさ?」
疑問がわき起こる。
「それならなんで、さらったりするんだよ?」
どうするか……とアスカは迷ったようだったが、話しておくかと頭を掻いて諦めた。
「わたしたちはね……さらってるんじゃないの。収穫してるのよ」
「収穫?」
意味がわからないというシンジに、アスカは表現を変更することにした。
「放牧してるの。わたしたちはね」
シンジは思わずアスカを見て、後悔した。
彼女は表情を消し、人じゃないものを見る目をしてシンジを見ていた。
「遺伝子的にチルドレン……エヴァとシンクロしやすい脳波や遺伝子パターンを持った個体を生産してはこの地に放って、自然繁殖するのを待って、増えた個体の中から選別に値するものを回収してるのよ。計画的にね」
シンジは以前にカヲルから聞いた話を思い出した。
クローンを作る研究施設があると。爆発事故があったとも聞いたが、そのような施設は放牧する優良種を作っていたのかも知れないと連想できた。
「大抵は協力的なのよ。親子代々、機族に貢献するために自分たちは存在しているんだって教育を行っているからね。でも時々、反抗的な個体も生まれるの。またそういうのに限って、秀逸だったりするのよね」
アスカは態度を元の軽い調子に戻して言った。
「……そんなわけでね、魔法なんてものを使う北の生物の生態調査の傍らで、魔力と呼ばれるエネルギーについても研究が進められていたのよ。そしてようやくものになって来たってわけよ」
秀逸なのは当然だろうとシンジは思う。
(ATフィールドは心の壁だ……だったら反抗的で我が強いほど壁は厚くて固くなるに決まってるじゃないか)
そんなことを考えながら、上の空で口にする。
「エネルギーシステムだってわけか、バリアシステムを作ったんじゃなくて……」
あれ? と、シンジは自分がなにを口にしたのか、嫌な引っかかりを覚えてしまった。
アスカはそんなシンジの様子に、にんまりと笑って教えてやった。
「そうね。バリアは余録よ。本当のところは魔力をエネルギーとした動力源の開発に成功したってわけね」
それがどういう……と言いかけて、シンジははっとした。
嫌な予感の正体に気がついたのである。
「燃料問題を解決したってことか!?」
「正解よ」
アスカは腰に手を当て、えらそうに大きく胸を張った。
「もっとも攻撃に使えるほどじゃないから、まだまだだけどね!」
そのために補給艦が必要であるとか、魔力をエネルギーとした動力機関によって、どの程度の出力までならATフィールドを使用できるかなど、アスカはそこまでは口にしなかった。
そのような情報を与えて逃げやすくするつもりはないからだ。
シンジが機族の操る機械について、基礎的な知識を持っていることは、疑いようのない話である。
これまでの戦闘に置いても、武器弾薬の使用条件、残弾、威力を計算しているところが見て取れている。
なにも知らないのであれば、N2レベルの兵器を目にしたなら、何発も撃ち込まれることを恐れるはずなのだ。
なのにシンジは、二度目三度目は来ないと判断していると思える戦闘をしてくれている。
そのようなことからも、過剰な情報は相手を有利にしてしまうだけだと判断するべきであった。……しかし、恐がり怯えてくれるような話は別である。
「魔力炉、って名前になったらしいわ。ファンタジーよね」
実際問題として、無限に近い稼働時間を与えるという動力源を得たと言うだけでも十分な驚異である。
ちっとシンジは舌打ちした。
「僕たちのことなんて、放っておいてくれたって良いだろうに」
「そういうわけにもいかないわ」
「なんでだよ」
「なんでって……」
「おかしいだろ? たとえばだけどさ、僕にどれほどの価値があるって言うんだよ?」
それこそわかっていないとアスカは感じたが、シンジには別の意見があった。
「だってそうだろう? 僕はこうして君と会って話してる」
はぁ? っと眉をしかめる。
「友達になれるかもしれないとか言わないでしょうね?」
そうじゃないとかぶりを振る。
「言わないよ。そこまで甘くなってくれるとは思ってないよ。だけど僕がうろつき回った場所……いや、僕が泊めてもらえることになった部屋を、後で掃除でも何でもすればいいじゃないか。髪の毛の一本くらいは落ちてるだろうし、そこからクローンなんて何体でも作れるはずだ」
それはシンジのような知識のある人間だからこそ出る発想で、つまり戦闘にこだわる必要はなく、問題は解決できるのだという訴えでもあった。
「けどそれは今になったから言えることでしょう? ここに来るまではずいぶんと抵抗してくれたじゃない」
「それは君がいきなり襲いかかって来たから」
「あれはあの機体が……」
「は?」
「なんでもないわ」
なんでもないわりには……とシンジは気にした。
そうだと思い出す。
(巫女姫のところでも気になったんだ。どうしてこの子は僕たちを追いかけてきてるんだろう?)
彼女の話が本当なら、回収される側も協力的であるし、力尽く、ということもなく、交渉が主な手段となっているようだった。
なのに、自分はいきなり襲われている。
(どうしてあの館にいたんだろう? 機体って……サーバインに何か?)
小さなアスカが目的ではなく、彼女なりの目標があったのだろうかと勘ぐってしまう。
じとっと見つめる。
しらばっくれるように、彼女は目を合わせない。
シンジは尋ねた。
「アスカのことなんだけど……」
「はん?」
「小さなアスカだよ」
「ああ、あの小さな個体ね。あれがどうしたのよ?」
「あの子をどうするつもりなのさ? 回収してどうするんだよ?」
「クローニングについてはあんたの言った通り可能だけど、必要なのは自然交配で誕生した個体なのよ。大体、クローン体なら目の前にいるでしょうが」
ここにと、自分の胸を指で突く。
コピーなど日常的に量産されているのだと。
「だけどあたしたちと違って、自然交配で誕生した個体の育成には、成長促進プログラムなんて適用できないのよね。あの子を見逃して次の個体が誕生するまで……なんて待ってたら何年かかることになるかわからないじゃない」
そういうことを聞いてるんじゃないとシンジは言った。
「答えになってないよ。僕は、回収してどうするのかって聞いてるんだよ?」
さあっととぼけるアスカである。
「公開情報だと、市民権を与えられて、都市部で暮らしてもらうことになってるけどね」
そうなった人間全員が大人しく暮らしていくとは思えず、シンジは嫌な想像をしてしまった。
(洗脳教育くらいやってそうだな)
思想教育かもしれないがと考える。
実際、先ほど、親が子にそのような教育を行っていると聞かされたばかりである。
そんなシンジにアスカは語る。
「あの子一人をどうにかしたところで、回収されている個体は年間二桁に入るのよ?」
「そんなに!?」
「機族の『人口』の大半は彼らが底を作ってるの。あんたがどれだけ無駄なことをやってるかわかる?」
無駄なもんかとシンジは叫びたかった。
しかし、口から出たのは負け惜しみでしかなかった。
「だからって……あの子を見捨てられるもんか」
そう……と、アスカは諦めたように口にした。
「一応言っておくけどね、あんたの身と引き替えに、なんて交渉は通じないからね」
「うん……」
「あんたはあんた。あの子はあの子。機族は機族でこの世界のことを考えているから、慈悲なんてものはかけたりしないわ」
「それは……そういうものなんだろうね……」
シンジはそのまま会話を続けるかどうか迷った。
他にも聞いておかなければならない問題がある。それはシグナムたちのことであった。
闇の書。その存在についてうかつに漏らして良いのかどうかわからず、シンジは迷ったのである。
(MAGIとかそれに似たものを今でも使っているのならって考えてたけど……)
アスカの話を聞いて、闇の書と機族との間が、完全に断絶してしまっているとわかったのである。
なぜなら守護騎士が魔法を使えるからである。
(シグナムたちは闇の書に作り出された存在だ。つまり闇の書は、機族がまだ解明してないって言う『魔法』を使える個体を、大昔から生産していたってことになる。もし下手に扱わせたりしたら、その情報を持って行かれることになりかねないんだ)
闇の書は魔法原理について解明し、その使用を可能とする生命体を製造する設計図のようなものを潜ませている可能性があった。
このプログラムは流出させてはいけないものだとシンジにもわかる。
(どうしたものかな)
シンジはシグナムやテッサに相談してからにしようと、一旦は引き上げることにした。
しかし、借り受けた部屋のことを思い出して、かなり気を重くしたのであった。