LAS

Ｌ．Ａ．Ｓ．_{THY TEMPTATION 6}

「碇、く、ん……」
　段々と動きが激しくなっていく。
　手はついにショーツの中に滑り込んでいた。
「ふわ……」
　手のひらに当たるちくちくとしたヘアの感触。
　今は気持ち悪くべたついてしまっている。
　でも、やめられない……
　ぎゅっと足を閉じ、人差し指で無心に溝の入り口をなで上げている。
「これ、なに？」
　レイはそのもやもやの正体に思い至れなかった。

「アスカ……」
　シンジは正直、肉体的な快感を感じてはいなかった。
　アスカがキスしてくれている……
　しかしその事実が、シンジの心を奪っていた。
　シンジがしたものとは違い、アスカはキスをするようにすくい取っていく。
　生白い体に残されていく赤い痕。
「これで、シンジはあたしのものよ？」
　アスカは下がるだけ下がり、シンジの物の根元をつかむと、真っ直ぐに立たせてキスをした。
「うあ！」
　腰を引いて逃げようとするシンジ。
「だめ！」
　下腹でこするようにシンジに乗りかかる。
「アスカ！」
「あげるわ……」
　アスカの手がシンジをつかんで導いた。
「だ、だめだよ！」
「いいのよ……」
　アスカは割れ目にシンジのものを挟み込んで、こすり出した。
「シンジの、バカ……」
　シンジは何も言えなくなってしまった。
　アスカは顎を引き、後方にあるシンジのものを確認している。
　手で押さえつけるようにして、入れていく。
「ごめん……、ね？」
「え？」
　入る一瞬に聞こえた言葉。
「あたし、初めてって感じ、しないと思うから……」
「アスカ？」
「初めては、今よ、でもね？」
　ゆっくりと咥え込んでいく。
　痛い！？
　食いちぎられるかと思うほど、シンジはきつく絞り上げられた。
「訓練で、ね？、無くなっちゃってるから……」
　アスカの声は震えていた。
　え！？
　涙がとめど無く溢れている。
「嫌よね、シンジ、こんなの！」
　ぐっと、最後まで入り込んだ。
「訓練がきつくて破けちゃったのよ、シンジだって普通の女の子としたかったわよね！？」
　アスカも苦しいのか？、くっと堪えるように息を吐いた。
「シンジだって、もっと明るくて、もっと楽しくしたかったよね？、こんなの……」
　圧迫感がアスカに空気を求めさせる。
「アスカ！」
　しがみつくように、シンジは激しく抱きついた。
「こんな、犯されるようなの！」
「そんなことない！」
　アスカの耳元で大きく叫ぶ。
「僕になんてもったいない！、アスカはもっと大切にされるべきなんだ！、優しく扱われて当然なんだ！」
　僕と違って。
　シンジ……
　シンジの抱きつきが強過ぎて、身じろぎすらできないほどに息苦しくなった。
　でも、嬉しい……
　アスカはわずかに動く手で、シンジの胸に軽く触れた。
「じゃあ……、シンジは、大切にしてくれるの？」
「……わからない」
　それでも、アスカは満足していた。
「それじゃあ、シンジは優しくしてくれるわよね？」
「……自信が無い」
　二人で、仲良く倒れ込む。
「お願い、シンジ……」
　身を起こす、それを許すシンジ。
　お互いがお互いの目を見たがっていた。
　真っ直ぐに視線を絡め合う。
「……どうして、僕なの？」
「……みんな、優し過ぎるから」
　アスカは軽く体を前後に動かした。
「ううん、優しくする事しか知らないから……」
　痛い！
「ちゃんと見てくれないの……」
　ああ、う……
「あたしの何も、分かってくれてないのよ……」
　外へ漏れ出すほどに濡れているのに、とてもきつい。
　まるで手で握り潰されてるみたいだ……
　それでもアスカの顔を見ていると、我慢しなくてはいけないと感じてしまう。
「あたしの汚い所を知らないの、こんなにあさましいって、こんなことしたがってるのに、みんな！」
「アスカ！」
　シンジは黙らせようとして首に腕を回した。
　ふぐ！
　強引にアスカの唇を奪う。
　シンジ……
　新しい涙がこぼれ始めた。
　僕は、僕は！
　愛おしいと感じてしまう。
　そのまま、二人はいつまでもキスをしていた。
　繋がったままで、もう絶頂を求めようとはしなかった。
　ただのキスだけど……
　今は、嫌だ……
　離れたくない。
　それ以上に大切なもので、お互いの中を満たそうとしていた。

　シンジが好きよ……
　目覚めたのは、アスカの方が早かった。
　最後まで、したのにね？
　アスカの中に、シンジが放たれたりはしなかった。
　でも、いいのよ……
　微笑み、シンジの髪を撫でつける。
　朝の穏やかな陽射しの中で、シンジは幼子のように眠っていた。
　そんなシンジの頭を、アスカは膝の上に乗せて愛おしげに撫でている。
　シンジは安心しきった顔をしていた、それはここ数年の間どころか、もっと幼い頃から一度も浮かべた事のない寝顔であった。
　シンジ……
　キスをしたくなる、でもその為には膝枕をとかなければならない。
　シンジ……
　起こしちゃったら、可哀想よね？
　だからアスカは我慢する。
　起きたら、いっぱいしましょう？
　白い光の中で、母のようにシンジに接っする。
　しかしそのすぐ側で、ぎゅっと引き締められている唇があった。
　部屋の入り口に立って、レイは一言も発せずに見つめていた。
　レイにはその二人の空気を、壊す事などできなかった。

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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
この作品は上記の作品を元に創作したお話です。