Will you ……? 7

「触るよ?」
 シンジはそっと手のひらを押し付けるように、レイの中心に中指をあてがった。
「ふ、ん……」
 我慢するような声が漏れ出る、それだけ敏感になっている証拠であろうが、それ以上にシンジを意識している現われであった。
(熱い……)
 それにぬるぬるとしていた。
(うわ……)
 少し力を入れただけで指が中へとめり込んでいく。
「うんっ」
 ぞくっとした何かがレイの背筋を駆け抜けた。
(この感覚は、なに?)
 堪えられない。
 こそばゆい、痛い、恐い?
 どれも違う。
「ふあああああ!」
 レイの口から声が漏れ出した。
 身をよじる、あてがわれた中指がすれる。
(!?)
 体がビクンと反応を示してしまう。
 少年を見下ろす、自分は股を閉じてしまっていた、その向こうで少年が自分を愛してくれている……
(見えない……)
 顔が見えない、彼はどんな顔をして、いま愛してくれているのだろうか?
 寂しい。
 体が震える。
(いや、一人は、嫌)
 ゆっくりと股を開く。
 だがシンジは俯いていて表情を確認できない。
(いや……)
 直接触れられているのに、不安になる。
 レイは手を伸ばし、シンジの髪に指を絡めた。
「……!?、なに?」
 驚く、しかしその手を掴み返すことは忘れない。
「大丈夫だよ?」
 シンジはレイの表情に気が付いておかしくなった。
(不安、なんだ)
 常に抱き合っていないと。
 触れていないと。
 見つめ合っていないと。
 シンジは少しだけ未練を感じて、そこに頬擦りを残すことにした。
「ゃああああ!」
 レイは不意に走った刺激に悲鳴を上げた。
 頬がその肉をめくり上げた。
(熱いや……)
 レイの反応が直に分かる。
(壊れちゃいそうな声だ……)
 だがシンジは慌てなかった。
(さっきも聞いたよな、この声……)
 その数倍はある嬌声だ。
(同じだ、感じてるんだ、綾波……)
 シンジは顔を離した。
(綾波……)
 被さるように這い上がって唇を奪う。
(……あ)
 レイはわけがわからなくなっていた。
(碇君が、甘えてくれた……)
 頬擦りをそう感じていた。
(それだけで、たまらなくなったの?)
 今は唇を吸われてドキドキとしている。
 してしまっている。
 肉体の刺激と、心の叫びが混ざり合っている。
 何に対して反応してしまっているのか、混乱した頭に拍車がかかる。
(壊れるの?、壊れてしまうの?)
 心配になる。
(なぜ?)
 ようやく夢が叶ったから?
 なのに消え去る事になってしまう?
 壊れるとは無に還ると言うことなのだから。
(嫌、そんなのは、嫌……)
 レイは腰を引こうとした。
 これ以上の快感によって溶かされてしまうのが恐かったから。
 だがシンジはもう、レイの声に自分の股間を張り詰めさせてしまっていた。
(綾波……)
 キスした状態のままで、レイの両腿を抱き起こす。
「んっ……」
 股間に『それ』の先端が当たったからだろう、レイは呻いた。
 レイの裂け目からこぼれ出す熱い液体を先端で感じ、シンジはそれだけで弾けそうになる自分を感じた。
「や、あ……」
 レイは逃げようとして、守ろうとして、結果的に自滅した。
 シンジのもので擦ってしまう事にしかならなかった。
「んん!」
 腿でシンジの腰を挟んで悶え苦しむ。
 シンジはゆっくりと、あてがったモノを挿し入れた。


 エリスはこれまででも最大級のショックを意識して身を強ばらせていた。
 だが実際に襲って来たのは、もっと物理的な衝撃だった。
 プラグが激しく振り回される。
「衝撃?、なに!?」
 アスカはアスカでイっちゃっていた顔を引き締め直した。
 チッとこぼれた舌打ちを、エリスはワザと聞き逃す。
「外で何か起こっているのでしょうか?」
「ブリッジ、どうしたのブリッジ!」
 しかし外も混乱してしまっているようで、通信がどうにも繋がらない。
(使えないわね!)
 アスカは独自の判断で動く事に決めた、何よりもこのまま沈められては面白くないからだ。
「エリス、聞こえてるわね?」
「はい!」
「起動シーケンスを通常モードでスタート、いつでも出せるようにしておいて」
「はい」
 小気味のいい返事に、アスカは満足気に頷いた。


 異物が割り込んで来る感覚に、レイは反射的に脅えて力を入れた。
(嫌!)
 過去の検診で器具を入れられた時の不快感を思い出した。
「ふあああああ!」
 だが今回は違っていた、そんな気持ちの悪さは沸き起こらなかった。
(わたし、感じているの?、何故……)
 似ているのにまったく別の感覚が走り抜けている。
「ふううううああああああ!」
 ぞくぞくっとした何かがレイの背筋を駆け昇った。
(碇君!)
 レイはしがみつくと同時に理解した。
(凄い!)
 レイに半分被さっていたシンジは、その肌の震えと耳元に吹きかかる吐息に驚いた。
(凄いや、綾波!)
 シンジは強く首を締め上げられた、しがみつこうとするレイの腕によって。
 それ程までに激しい感情の表現に、シンジは感動すら覚えていた。
(綾波……)
 レイは放心状態にあった、目はうつろで、口と共にわずかに開いていると言う程度になっていた。
 泡を噴いている様なイメージすら思い浮かぶ、それ程にレイは意識を飛ばして空ろになっていた。
 アスカとした時にはこのように相手を思いやれる余裕は無かった。
 だが今は違うのだ。
 シンジはレイと繋がっている事を強く意識した。
「綾波……」
 シンジは唇に吸い付いた。


「何処の船だ!」
 相変わらず怒鳴り散らすだけの男である。
「おそらくはアメリカか……、チャイナ、マレーシア辺りでしょう」
「そんな情報が当てになるか!」
 副官を怒鳴り散らしてはいるのだが。
(この人は!)
 具体的な指示を何一つ与えてはくれないのだ。
 その焦りは副官以下クルー全員のものである。
(このままでは……)
 副官の彼は助けを求めるように視線を漂わせて、タンカーの幌が跳ね上がるのを見た。
(弐号機!)
「セカンドチルドレン、弐号機出撃に入っています」
「なんだと!?」
 艦長は慌てて双眼鏡を取り出し……、取り落とした。
 レンズが割れて慌てふためく、が、巨大な人形が立ち上がったのだ、そんなものはなくとも確認は出来る。
 それすら思い至らないほど彼の狼狽ぶりは混乱を極めていた。
 副官はもう諦めた、彼を見限り、通信を開く。
「セカンドチルドレン、聞こえますか!」
『聞こえてるわよ!、弐号機、そちらへ移すわ?』
「ま、待て!、まだ敵が見えていない」
 艦長は慌てて自分の存在をアピールした。
 だがあっさりと却下される。
『沈められたら終わりなのよ!、エリス、イヴも出して』
『はいっ!』
「ちょっと待て!」
(この人は!)
 副官は艦長を押しのけた。
「なにをするか!」
「大事な戦艦を沈められてしまうような人は無用なんですよ!」
「なんだと!?」
『その通りよ!、あんた誰?』
「副官のトーマスです、指示を!」
(やるじゃない?)
 アスカは胸の内で呟き、すぐに作戦の内容を伝えた。
『いい?、旗艦を中心に密集体形を取らせて、弐号機はそっちへ移るから』
「どうするんですか?」
『ATフィールドで艦隊を守るのよ!』
 アスカの意図を読んでトーマスは目眩いを感じた。
(ATフィールドで防御バリアー……、結界を張るつもりなのか!?)
 あまりにも荒唐無稽な作戦ながら、それを読み取れる柔軟性がトーマスには養われていた。
(イヴが、エヴァがあるとはこういう事なのか!?)
 そして悟る、何故現場責任者よりもネルフの作戦部の人間の言が優先されるのかを。
(こんなこと、思い付けるか!)
 その間にも、アスカ達のやり取りは進行していた。


 くちゃ……
 抵抗が無い、それを好いことに舌をレイの口内で遊ばせる。
「ふっ!」
 胸にも手を当てる、と、レイに舌を噛まれかけた。
 感じ過ぎている、どんなことにも、触れるだけで。
「あ、い、かりくん……」
 レイは離れるなと、今度は自分から吸い付いた。
 助けを求めてすがりつく。
(綾波……)
 レイの腰を抱くように体を合わせて、ゆっくりと芯に刺激を送り出す。
 ギュッと目を閉じると、よけいに抱きすくめている体の柔らかさが感じられた。
(綾波……、綾波、綾波!)
 高まった熱はどちらのものなのか曖昧で……、互いの境界線を薄くする。
 シンジはレイの中を一心不乱に掻き回した。
 それこそレイの嬌態に負けないほどの勢いで。
「あっ、はっ、はっ、はっ、ふっ!」
 レイもシンジの腰に足を絡めて答え返した。
「あっ、ああっ、あ!」
 吸い付く余裕すらなくなり、口は悲鳴を上げるためだけにただ使う。
 淫靡な音が室内を満たす、時折波風以上の揺れに見舞われたが、シンジは自分の突き上げと、跳ね上がるレイの体に気が付かない。
「あ、い、碇君っ!」
 シンジの腕を振りほどき、自由になった腕で抱き縋る。
 がりっと、レイはシンジの背中に爪を立てた。
 先程よりも更に強く、シンジの肉と皮が指先に詰まる。
 シンジの背中とレイの手は、滲み出した血で軽く染まった。
「あ、あああ、あああああ、あああ!」
 声のキーが上がり出した。
「ああ!」
 トーンも変わる。
 またも迎える絶頂、背筋に走るゾクゾクとしたもの。
 それは二人とも同時に駆け抜けるのを感じていた。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
この作品は上記の作品を元に創作したお話です。