Episode:8D
「アスカちゃんだレイちゃんだミズホちゃんだといっても、最後はやっぱりカヲル君なのねぇ」
「シンジ、相手はせめて女の子にしろ」
遠く世界の果てから見守る、無責任な両親だった。
●
「はい、シンジ君おかわりはもう良いのかい?」
「ううん、ありがとう、おいしかったよカヲル君」
のんきに食卓についているシンジ。
「ああ、やっぱりおさんどんしてるよりは良いなぁ」
なぜだかエプロン姿のカヲルが、食後のお茶を運んできた。
「嫌なのかい?」
「作るのは楽しいから嫌いじゃないけど、僕は趣味で好きなだけだから」
「そう、でもアスカちゃん達の気持ちも分かるけどね」
「どういうこと?」
「だって、好きな人の手料理って、食べてみたいじゃないか」
「あれはちょっと違うとおもうけど…」
通常何日もかかって食べきるような満間全席を、たった一時間で食い切る三人を思い浮かべる。
「そうかな…、眠くなったのかい?、シンジ君」
「うん、ちょっと…、お腹がふくれたからかな?」
「寝てるといいよ、あの三人が追いかけてくるには、まだ時間があるからね」
「そう、じゃあちょっとだけ…」
くぅっと、両腕を枕に机に突っ伏して眠りはじめる。
「おやすみ、シンジ君」
にやり。
カヲルは完全に寝入ってしまったシンジを抱き上げ、別世界への扉を開いた。
「さあ、行こうかシンジ君、僕達が幸せになれる世界へと」
カヲルの足取りは軽かった。
●
「まずい、ヘブンズドアが開いたわ!」
「カヲルの奴、シンちゃんを連れ込むつもりね」
「それって、なんなんでしょうかぁ?」
真っ白な世界、前後に道がのびている以外なにもない。
ミズホは気味が悪くて、レイの服の裾を持ったままはなそうとしない。
「ドアは神々が集う大聖堂に続いているのよ」
「そこで愛を誓うと永遠のものになってしまうの」
「それってぇ〜」
チャンスかもしんない、わね、ですぅと、三人同時に同じことを考えた。
「急ぐわよ、カヲルなんかに出し抜かれてたまるもんですか」
「ううん、あれ?、カヲル君」
「お目覚めかい、シンジ君」
目がさめると、どこかの教会の中にいた。
「ここって…」
「すごいだろ?、シンジ君にも見てもらいたくてね」
なぜかもじもじしているカヲル。
「大好きなシンジ君にね」
なぜか赤くなるシンジ。
「あ、ありがとうカヲル君、ぼくもカヲル君のこと、す…」
「そこまでよ!」
ばんっと扉が開かれた、逆光の中に立つ影が三つ。
「シンちゃん、それ以上口にしちゃダメ!」
「ここで愛を誓うと永遠になってしまうんですぅ!」
ぽかっと殴られるミズホ。
「ばかねぇ!、それ言っちゃったらシンジが警戒しちゃうじゃないの」
「ふえぇ〜〜ん、ごめんなさいですぅ」
ふうっとため息をつくカヲル。
「やれやれ、もうちょっとだったのになぁ」
「カヲル!、シンちゃんを返してもらうわよ!」
すちゃっと七色に輝く宝珠を取り出す。
「「「宝珠天身!」」」
三人同時にそれを放り投げる。
「陰陽の理あらわす二天の日月、その光もて身にまとわせよ七つの宝珠」
「一心、二天、三神、四界、五色、六光」
「七つのパステル、その身にまとえドミニオン!」
パアアアアっと、光に包まれる。
「ああ、アスカたちが…」
それぞれ十六才な魔女ッ子バージョンへ変身をとげていた。
身長がのび、それにあわせて今まで以上に胸と腰がグレードを増しているアスカ。
ミズホは身長は変らなかったが、しまるところがしまり、出るとこが出て、より女の子女の子していた。
その二人をじっと見てから、自分の胸元を見て見るレイ。
「しくしくしくしくしく…」
「自爆してちゃしょうがないね」
やれやれとカヲル。
「そっちがその手でくるなら、こっちも…」
宝珠を取り出す。
「轟魔力招来!」
破軍天破の黒天使参上!っとカヲル。
「うわぁっ、なんであんたビキニパンツなのよ!」
「しかも上半身裸で、マントだけってどういう趣味ぃ!?」
「変態さんですぅ!」
余裕の笑みを崩さないカヲル。
「何とでもいいなよ、さあさっさと片付けて、シンジ君と愛を語り合うことにしよう」
…ってあれ?
四人ともシンジを探して、見つけられなかった。
「シンジー!」
「シンちゃーん!」
「シンジ様ぁ!」
「逃げられちゃったかな?」
それ程残念そうじゃないカヲルだった。
●
「ただいま…」
ズタボロになってシンジは帰ってきた。
「あらお帰りなさい、レイちゃん達は?」
「達って…、ああっ!、また父さんと見てたんだな!」
ほほほほほっと笑ってごまかす。
「シンジ、せめて初めての相手は女にしておけ」
「そういう問題じゃないだろう!」
ユイがなだめにかかる。
「ほらほら、今から怒っていたら身が持たないわよ?」
「そうだぞ、もうすぐ皆やってくるからな」
シンジは一気に青ざめた。
「ぼく、もう一度出かけてくるからね!」
「どこへ行くの?」
シンジは答えなかった、ただ安住の地を求めて、東方へ向かったことだけは間違いなかったが。
こうして、シンジの東方への旅が始まった。
途中、猿と豚と河童と馬に化けたアスカ、レイ、ミズホ、カヲルに追い付かれるが、その後のシンジの消息は定かではない。
終わり。
●
「…いいけどさぁ、別に、レイとミズホは笑って済ませるかもしれないけど、アスカは怒るんじゃないかな、きっと」
シンジの呟きどおり、アスカは怒っていた。
「終わりって何よ終わりって、全然オチてないじゃない!」
「そういう問題でしょうかぁ?」
「そうよ、だってこのまま終わったら、あたしたちただの色情狂みたいじゃない!」
「相田君も冗談で書いてるんだからさぁ…」
「甘いわ!、第一なによ、この好評だったら続編を書くって言う後書きは!、これ以上こんな変なの書かれてたまるもんですか!」
「それより試験勉強しませんとぉ…」
「そうよ、あたしたち一応受験生なんだから」
聞いてない。
「とっちめてやる!」
このあと、ケンスケはアスカにうっぷんを晴らされた後、東に向かって駆け出していったというから、何があったのかは推して知るべしである。
続く
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