Evangelion Genesis Real
Evangelion another dimension real:8
「やめて、やめてよ…、こんなことやめてよ…」
シンジの泣き声が響く。
「うるさいわよ…」
わずらわしげな声。
床の上に転がっているシンジ、その腰をまたぐように、アスカはシンジと繋がっていた。
「これがあんたの望んでいたことでしょうが…」
怒りに満ちた口調。
「違うよ…、僕はただ…」
真横にアスカのショートパンツと、丸まったショーツが放り出されている。
「ただ、なによ!」
きゅっとシンジのモノを締め上げた。
「ただ!、優しくしてもらいたかっただけなんだ!!」
苦しげに呷くシンジ。
「なによ…、いまさら、優しくしてあげてたじゃない…」
シンジは唇を噛んだ。
「嘘だ…」
アスカはシンジの両手を片手で押さえていた。
もう一方の手をシンジの首へと伸ばす。
「してあげてたわよ」
「嘘だ…、ぐぅ!」
シンジの言葉を遮るために、喉を軽く締め上げる。
「してあげてたのに…」
涙が流れ落ちる。
「なんでよ?」
気づけないシンジ。
「なんでなのよ?」
その表情を見れない。
「なんであんたは、あたしを見ようとしないのよ…」
手を離した。
ゲホゲホゲホ…
咳き込むように、シンジは息を吸い込んだ。
「ねえ?、なんでよ!」
どんっとシンジの胸を叩く。
「なんで…」
もう一度、今度は力無く。
「アスカ?」
ようやくアスカの異常さに気がついた。
自由になった手を伸ばし、アスカの頬に触れようとする。
パン!
アスカはその手を払いのけた。
「ほら…」
再びシンジのモノを締め上げる。
「ほら、気持ちいいでしょ?」
適当に動かす…
「気持ち良いんなら、もっと腰を動かしなさいよ!」
アスカは自分が良いように動かしていた、その事に自分自身気がついていない。
「あ、あ、うう…」
シンジが耐えかねたかの様に呷きを漏らした。
「お願い…、やめてよ」
それでも吐いた拒絶の言葉に、アスカはかっとなってシンジの頬を張った。
パン!
「ばかシンジ!」
シンジはその瞬間、漏らすように放出していた。
アスカの中にじわっと熱い物が広がる。
「気持ち悪いのよ、ばかシンジが!」
泣きながら平手を振るう。
「アスカ、やめなさい!」
様子を見ていたミサトが、あまりのことに耐えかねて飛び出した。
「アスカ、アスカ!」
アスカを背後から羽交い締めにして、取り押さえる。
「バカが!、このバカが!」
アスカの中からずるりとシンジが抜け出した。
アスカは手が届かなくなると、今度は足を使ってシンジに当たった。
「バカが!」
力一杯蹴った。
「やめて、やめてよ…」
どちらへ逃げればいいのかもわからずに、シンジは体を丸めて自らを庇った。
「お願いだよ…、許してよぉ…」
情けない声を上げて懇願する。
それを見て、アスカはますます頭に血を上らせた。
「…ろしてやる、殺してやる、殺してやる!」
「アスカ!、落ち着きなさい!」
「いやよ!、離してよミサト!」
全身を使って激しく暴れる、ミサトですら抑えきれない。
「あたしを見ない奴なんて、あたしをいらないって言う奴なんて、あたしには必要ないんだから、離してよぉ!」
喉が潰れるかと思うほどの叫び。
シンジは体を丸めて脅えていた。
全身に痣が付いている。
その股間が気持ち悪く濡れていた。
白濁の中に赤い物が混じっている、だがこの場でそれに気がついた者はいなかった。
「で、セカンドチルドレンの様子は?」
冬月はため息をついた。
「自宅謹慎…、と言うわけにもいかないので、今は病院に収容しています」
「監督不行届き…、と見ていいのかね?」
「かまいません…、が、チルドレンの精神負担が限界を迎えつつあると、あたしはそう認識しています」
ネルフ本部、司令公務室。
ゲンドウはいつものポーズを崩さず報告を聞いている。
冬月、レイがその両脇を固めていた。
「葛城三佐…」
「はい」
「我々は子供の癇癪に付き合っている暇はない…」
「はい」
「互いの接触が問題となるのなら引き離せばいい、それだけだ」
冬月がゲンドウの代わりに歩み出て、ミサトにカードを渡した。
「…これは?」
「施設本部の宿舎に部屋を用意した、初号機専属パイロットにそこを貸し与える」
「え!?、…ですが」
「付き合っている暇はない」
断言して立ち上がる。
「レイ」
「はい」
「シンジの面倒はお前に任せる」
「はい」
レイはゲンドウの背中へ向かって答えた。
「はあ…、まいったわねぇ」
ミサトはエレベーターの中で呟いた。
緊張から介抱されて、思いっきり脱力しきっている。
レイは無言で何を言い出すのか、様子を窺っていた。
「まさかアスカがあそこまで切れるとは思わなかったのよ、迂闊だったわ…」
シンジも、アスカも、細い綱の上を渡っているような精神状態だった。
「気がつかなかったのは、あたしの責任ね?」
レイに尋ねる。
「だからそんな顔で見ないでよ」
「はい…」
レイは視線を階数表示へ移した。
カチン、カチンとカウントが下がっていく。
…いつもと変わんないか。
ミサトは自分の罪悪感から、レイの視線に負い目を感じたのだと思い込んだ。
「シンジ君のこと、頼むわね?」
だからそうお願いした。
「わたしも施設に移りましたから…」
おざなりな返事。
「そう?、そうだったわね…」
あたし、レイに対しても普通に相手できなくなってきてる…
ミサトは人への接し方を忘れている自分を自覚した。
「ねぇ、どうしたら良いと思う?」
弐号機のケイジで、シンジはアンビリカルブリッジから赤いエヴァに話しかけていた。
「ねえ、そこにいるんでしょ?」
エヴァは答えない…
「僕…、いらないって言われるのが恐かったんだ…」
独白に近い。
「だから笑ってる顔でごまかしてたんだ」
シンジは話しをしているつもりだった。
「笑ってる顔でいたいから…、アスカにも笑っててもらいたかったんだ…」
だがシンジの声は、空しく消える。
「ねえ?、それっていけないことだったの?」
弐号機の冷たい視線。
「だから今度は離れようとしたのに…」
どちらもうまくはいかなかった。
「ねえ、声を聞かせてよ…」
ゆらゆらと揺れるL.C.L.…
「ねえ、僕の相手をしてよ…」
だがそれは気のせいだ。
「お願いだから、僕にかまってよ!」
弐号機は反応を返さない。
「ねえ、助けて…」
ふらふらと弐号機に近寄りだす。
「助けてよ…」
爪先がブリッジの端から出た。
「お願いだから、僕を助けて…」
バランスを崩す。
「僕を見捨てないで!」
「碇君!」
L.C.L.の中へ落ちる寸前、シンジはレイに抱きつかれた。
「綾波?」
顔を向ける、だが当然見えない。
「危ないわ…」
そのままブリッジの中央まで引き戻される。
「綾波…、どうして?」
「あなたの面倒を見るように、碇司令に言われたの」
「父さんに…」
シンジは喜びよりも、辛いものが込み上げた。
「僕は…、どうなるの?」
聞くのが恐い。
「なにも?、ただ本部施設の宿舎へ移ることになったわ…、わたしと一緒にね」
「綾波と?」
「ええ…」
シンジの手を取り、エレベーターへと向かう。
その手に、アスカとの記憶が掘り起こされ、シンジは胸が痛んだ。
「…アスカは、どうなったの?」
一瞬の沈黙。
「アスカは…」
「現在、病院で治療を受けているわ」
「…治療?、どこか悪いの?」
惚けたことを聞く。
「強いて言えば…、心が病んでいるのよ」
どこか納得するシンジ。
「なんだ…」
ほっとため息をつく。
「それじゃあ、僕と同じじゃないか…」
無言で返すレイ。
シンジはレイの導きに従い、宿舎へと向かった。
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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
この作品は上記の作品を元に創作したお話です。