Rei's - faction:021
「ごめんねレイちゃん?、お休み貰っちゃって」
 目の前に立ったヒカリにレイは目を伏せた。
「コダマに喜んでもらおうと思って、碇君に一人で来てもらったの、でも碇君レイちゃんのことが心配みたいで」
 え?
「もうすっごくレイちゃん、レイちゃんって……、コダマ妬いちゃって」
 お兄ちゃん……
 頬が赤くなる。
 肌が白い分、リンゴのように真っ赤になったのが良く分かった。
「なんやと!?」
「鈴原?」
 やたらと慌てている。
「シンジと渚がケンカしてるって!」
「!!」
 がたんと立ち上がるレイ。
「渚ってどこぞの格闘技習ってたはずだろ!、シンジがやばい」
 ケンスケに押されて、二人も一緒に教室を出た。


 自分に馬乗りになる少年に、カヲルは冷静な評価をしていた。
 本当はわかっているんだろう?、君もレイちゃんが好きだと言う事に。
 口の中に血の味が広がっている。
 シンジは暴走気味に残された拳を振るっていた。
 ゴ……
 カヲルの顔を外れ、床を打つ。
 何発かに一度は外れて、拳の皮をめくっていた。
 シンジの鍛えられていない拳は、容易、かつ簡単に擦り切れ血を流していた。
「お兄ちゃん!」
 その声にハッとする。
「レ、イ……」
 シンジの瞳に正気が戻る。
「碇君、やめて!」
 ヒカリも抱きつき引きはがす。
「大丈夫か渚!」
「えらいボロボロやないか……」
 予想外のことに唖然とする。
 カヲルは腫れ上がった顔を歪めて答えた。
「少々いきすぎたからね?、自業自得さ」
「何をしたんだ?」
「レイちゃん」
 カヲルの呼び掛けにピクッと反応する。
「レイ……」
 シンジは心配そうに見た後、カヲルを睨み付けた。
「もう、いいのかい?」
 レイは赤くなってうつむく。
「生理、初めてだったんだろう?」
「へ?」
 真っ赤になって小さくなるレイに、シンジはキョトンとしてしまった。



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