Rei's - faction:027
「しっかしホンマ、センセが居眠りとは珍しいやないか?」
「うん……」
 まだぼうっとしているらしい。
「なんや?、なんか悩んどんのか?」
「夢にさ……、赤い髪の女の子が出て来て」
 ざっと一同の表情が変わる。
「シンジ君……」
 ポンと肩に手が置かれる。
「僕は理解のある方だけど……、そう言う事はレイちゃんの前で話さない方が良いと思う」
「え?、なんで……、痛っ!」
 ぎゅうううううう!っとシンジの首もとの肉をつまむレイ。
「な、なにさ!?」
「酷いシンちゃん!」
 何か言おうとしたらしいレイを押しのけて綾波が叫ぶ。
「いくらあたしの髪が青いからって、今度は赤を制覇だなんて!」
「制覇ってなんだよ、制覇って!」
「昨日だってシンちゃんのせいで寝不足になっちゃったのに!」
「な、なんだよそれ……」
「「シンジぃ!」」
「うわぁ!」
「わしはお前を殴らないかん、いかんのや!」
「頼むシンジ!、カメラとは言わないからマイクだけでも仕掛けさせてくれ!」
「すぅずぅはぁらぁ!」
「……道徳的には、相田君を叱るべきじゃないのかい?」
「え?、やだっ、あたしそんなつもりじゃ!」
「どんなつもりなんだい?」
「そんなっ、だって鈴原に聞かないと言えない!」
「な、なんでわしに聞かんといかんのや!?」
「嫌ぁあああああ!、だって、鈴原ったら、鈴原ったら!」
「なんやねん!?、いったいなんなんやぁ!」
 分けがわからないまま悶える二人。
「それで、お兄ちゃん……」
「れ、レイ……、恐いって」
「夕べ、わたしを寝かし付けてから、なにをしていたの?」
「何もしてないって!」
「と言うか、シンジぃ……、お前まだレイちゃんを寝かし付けてるのか?」
「さすがに子守り歌はもうしてないけど」
「子守り歌の代わりは、シンジ君の温もりと言う事かい?」
「何を言うのよ」
「シンちゃんってやぁらしぃ……」
「そんな目で見ないでよぉ!」
「お兄ちゃん……」
「だから!、何もしてないって!!」
「ほんと?」
「ほんとだってば!」
「怪しい……」
「お願いだよぉ……、どうしたら信じてくれるのさ?」
 レイは少し悩んでから、半分おねだりするような口調でお願いした。
「チェロに誓って」
「え?」
「……誓って」
「わ、わかったよ……」
 シンジが何か宣誓するのを見ながら、綾波はカヲルの耳に口を寄せる。
「ねぇ……、チェロに誓うって、なに?」
「ああ、チェロはシンジ君の特技の一つでね?、レイちゃんのためだけにチェロを弾くのさ」
「へぇ……」
「レイちゃんの音感は凄いからね?、嘘を吐いていると音が揺れるからわかるんだそうだよ、……どうしたんだい?」
「え?」
「羨ましいのかい?」
「ん……、うん」
 ちょっと上目づかいになる。
「君もシンジ君に引いてもらったらどうだい?」
「ん〜〜〜、やっぱりやめとく」
「どうしてだい?」
「妹らしく、ゲームセンターとか遊園地とか映画館とか、一人でいっちゃ行けない所にお兄ちゃんに着いて来てもらうから!」
「……それはデートと言うんじゃないのかい?」
「妹だからデートにならないもん!、ねぇ?、シンちゃん!」
「……わたしも」
 じぃっとこっちは指も咥えるレイ。
「余計な知恵付けさせないでよぉ!」
 シンジは本気で泣きそうだった。



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