シンジはぼうっとしながら考えていた。
……あの赤い髪の女の子。
知っているはずなのだが、思い出せない。
あっちは加持さんなんだよな?
グレーの制服の青年。
そう言えば、あの後「ああ言えば女の子って泣きやむんだなぁ」って思ってたっけ。
くすくすと笑みを漏らす。
それでなんだか女の子の顔が赤くなるから面白くって……、ま、みんな覚えてないだろうけど。
覚えている数は意外に多かった。
「それってアスカのことじゃないのか?」
からかいが一段落した所で、幼馴染らしい少女の話に戻った。
「アスカ?」
「あ、そやそや!」
「ひっどぉい!、碇君の隣の家だったじゃない!」
「……そうだっけ?、レイ、覚えてる?」
裏切るように頷かれる。
「う、そうなのか……」
「ふぅん、そんな子が居たのかい?」
「小学校の低学年で引っ越したはずや、綾波も知らんのとちゃうか?」
「うん」
「そっかぁ……、加持さんと仲良かったと思ったから、聞きに行こうと思ってたんだ」
「なんやそやったんか」
「それならみんなで行こうぜ?」
「ええ!?、なんでみんなで……」
「阿呆!、加持さんのことや、なんぞおもろい話聞けるかも知らんやろ?」
「う、うん……」
ヘッドロック状態で、男同士の会話を進行させる。
「ほなそういうことやさかい、女連中は仲ようごくろうさんっちゅうこって」
「え〜?、あたしも行くぅ!」
「鈴原達だけじゃ、絶対迷惑かけるでしょ?」
「……お兄ちゃん」
何故だか最後の呟きに、一番説得力が篭っていた。
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