「こりゃまた懐かしい名前を思い出したもんだな?」
「はぁ……」
申しわけなさそうなのは、あまり覚えていないためかもしれない。
女の子は優先的にカウンター、これは加持の奢りでケーキが配られたからだ、残りは適当に座らされていた。
「アスカなら今でもメールが来るよ」
「へぇえ〜、じゃあやっぱり加持さん結婚するんですか?」
「おいおい、勘弁してくれよ」
ぼりぼりと頭を掻く。
「幾らなんでも中学生だからな」
「ひかるげんじ……」
「いやぁんな感じぃ」
「ははは……、まあ、もうすぐこっちに帰って来るらしいけど」
「じゃあうちの学校に?」
「それはどうかな?、中学は学区もあるから、余所に行くって事もあるだろうさ」
他にも何か含みを持った言い方である。
シンジはそれをこう解釈した。
「余所に行ってくれるといいなぁ……、なんて思ってません?」
「ちょっとな?、シンジ君の方こそどうなんだ?」
「は?」
「そろそろ彼女を作らないのかい?」
「作りたいん……、ですけどね?」
困り果てる、ぴとっとガードするように左右に張り付く妹達に。
「ま、人生色々、それもいいさ」
「よくないですよぉ……」
うなだれるとすかさず腕をつねられた。
「いたっ!」
「知ってるかシンジ君?」
その様子にくすくすと笑いを漏らす。
「女性の初体験の平均年齢はなんと十二歳だそうだよ」
「へぇ……、えええええ!?」
「なんやそりゃ!?」
「それっていかにもって子を対象にしたアンケートのやつでしょ?」
「お、良く知ってるなぁ相田君は」
ケンスケは肩をすくめる。
「十二歳はどうかって普通思いますよ……、なぁ、委員長」
「フケツよーーーー!」
「ま、それはともかくとしてだ」
真剣になる。
「なんとその内、相手が身内ってのは一割を越えるそうだ」
きらりんと光る四つの瞳。
「ま、一割が多いか少ないかってのは難しい所だけど、なぁ、渚君」
「そうですね」
「お?、なんやその余裕は」
「僕は経験組だからね?」
「「「うえええええええ!」」」
「「師匠!」」
何故かカヲルの両手を握るトウジとケンスケ。
「か、カヲル君ってそうだったの!?」
「両刀なのね……」
「変態」
「それはないんじゃないのかい?」
特にレイの言葉に傷ついたようだ。
「僕を引き取ってくれたご夫婦の家は古くから道場を営んでいてね?、昔の習慣が残っているのさ」
「習慣って?」
「男児は十三歳で契りをかわし、嫁をめとるってことさ」
「「「よ、嫁!?」」」
少女陣の顔が赤らむ。
「さすがに十三歳で結婚は出来ないからね?、婚約の代わりにって……、まあ彼女も心変わりするかもしれないし、そう深くは考えてないよ」
「で、でもしたんだろ!?」
「そうだね?、相田君」
「で、でででで、で、どやったんや!?」
「鼻息が荒いよ?、鈴原君」
「かぁあああああああっ、はぐらかすんやない!」
「そうだよ!、後学のため、ここはぜひ!」
「そうだねぇ?、それじゃあ一つだけ」
グビッと誰かの喉が鳴る。
「体を鍛えておいて良かったと思ったよ」
「よっしゃあ!」
「がぁん!」
「鈴原ったら、もう☆」
「何を照れているんだい?、洞木さん……」
「レイ、綾波……、二人とも何やってんだよ?」
「「別に……」」
シンジのシャツをまくり上げて、お腹の筋肉をぺたぺたと触っている。
「ははは、そんなに凄かったのか?」
「格闘技をやっているのはお互い様でしたからね?、背骨を折られるかと思いましたよ」
何やら思い返しているようで、その顔はとても真剣味に満ちていた。
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