「綾波……、ケンスケのことが好きになったのかもしれない」
「そやなぁ」
「僕に聞きたかったのかな?、ケンスケのこと」
「やろうなぁ……」
「まあ上手くいったみたいだし、よかったんだよね?」
「寂しいんか?」
「ちょっとね……」
今日は二人だけで食事をしている、教室や屋上と言った定番の場所では無く、講堂の壇上でパンをかじっていた。
「好きやったんか?」
トウジはぼけらっとしたままで核心を突いた。
「わかんないや……」
「そやろなぁ」
二人とも確認するように言葉をかわす。
お互い本当に状況を理解しているわけではないのだろう。
「好きって言うのかなぁ?、……そうかもしれないけど、妹だし」
「そやけどほれ、医学上っちゅうか、戸籍やと問題あらへんとか言うとったやろ?」
「その辺はよく分かんないだけだよ、でも正直、ちょっと落ち込んじゃってるけどさ……」
「なんや?、振られたからか」
けけけっとからかう。
「違うよぉ……、ショックを受けてる自分にさ、ねえ?」
「なんや?」
「レイにも恋人が出来たら……、こんな気持ちになるのかな?」
「……嫁に出す親みたいなもんやろ、ようわからんけど」
(そんなものかな?)
シンジは何となくだが納得しかけていた。
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