「なるほどねぇ」
渦中のケンスケから真相を聞いたカヲルは、くくっとくぐもらせて笑いを漏らした。
「安心したか?」
「う、うん……、あ、ごめん、そうじゃなくてさ?」
シンジは気まずそうに口を濁す。
「いいって、俺も綾波と付き合えたら……、なんて思ってないしさ」
「なんや、好かんのか?」
意外そうにトウジ。
「可愛いのは認めるよ」
カメラを綾波にそっくりなレイへと向ける。
「でも趣味じゃない、かな?」
「なんやそれは?」
「可愛けりゃいいってもんじゃないだろ?、性格とかさ」
フレームを覗いたままで器用に肩をすくめてみせる。
「君の理想とは違うと言う事かい?」
「そう!、その通り、さすが渚だよ、よくわかってる」
「ありがとう、で、シンジ君、本当のところはどうなんだい?」
「え?、なにがさ……」
「ほっとしてるんじゃないのかい?」
意地悪くカヲル。
「ちょっと」
シンジもその冗談を受けて、指でOの字を作り指の間を少しだけ開けた。
「大体おかしいんだよ、俺と綾波がぁなんて思うのがさ?」
「自分で言うて、情けなないかぁ?」
「恋は意外なものさ、信じられない組み合わせもあるものだよ、例えば……」
ほら、とトウジを目で差す。
「ああ」
「なるほど」
頷く二人。
「なんや?、なんやっちゅうねん」
「気にするな」
「そうそう」
揃ってトウジの肩に手を置く。
「なんやねん、気色悪いのぉ……」
不満顔で口を尖らせ、その手を払った。
「しかしそうなるとさ……」
「なに?」
苦笑し合うケンスケとシンジ。
「シンジと綾波ってのも、順当過ぎるから無しだって思わないか?」
「なんで?」
「話題性のかけらも無いだろ?、レイちゃんならともかくさ……」
「そうだねぇ」
「別にいいじゃないか……、僕と綾波の組み合わせでも」
「お、シンジぃ?」
急にニヤニヤとし出すケンスケ。
「爆弾発言やのぉ?」
「シンジ君、後ろだよ」
「へ?、あ、綾波!?」
「シンちゃん……」
両手を組み合わせて目をうるうるとさせている。
頬は桜色に染まりきって。
「あ、いや、今のは、その!」
その綾波の向こう側には。
「…………」
絶対零度でシンジを睨む、レイの殺意のこもった瞳があった。
続く
[BACK]
[TOP]
[NEXT]