Rei's - faction:039
「なるほどねぇ」
 渦中のケンスケから真相を聞いたカヲルは、くくっとくぐもらせて笑いを漏らした。
「安心したか?」
「う、うん……、あ、ごめん、そうじゃなくてさ?」
 シンジは気まずそうに口を濁す。
「いいって、俺も綾波と付き合えたら……、なんて思ってないしさ」
「なんや、好かんのか?」
 意外そうにトウジ。
「可愛いのは認めるよ」
 カメラを綾波にそっくりなレイへと向ける。
「でも趣味じゃない、かな?」
「なんやそれは?」
「可愛けりゃいいってもんじゃないだろ?、性格とかさ」
 フレームを覗いたままで器用に肩をすくめてみせる。
「君の理想とは違うと言う事かい?」
「そう!、その通り、さすが渚だよ、よくわかってる」
「ありがとう、で、シンジ君、本当のところはどうなんだい?」
「え?、なにがさ……」
「ほっとしてるんじゃないのかい?」
 意地悪くカヲル。
「ちょっと」
 シンジもその冗談を受けて、指でOの字を作り指の間を少しだけ開けた。
「大体おかしいんだよ、俺と綾波がぁなんて思うのがさ?」
「自分で言うて、情けなないかぁ?」
「恋は意外なものさ、信じられない組み合わせもあるものだよ、例えば……」
 ほら、とトウジを目で差す。
「ああ」
「なるほど」
 頷く二人。
「なんや?、なんやっちゅうねん」
「気にするな」
「そうそう」
 揃ってトウジの肩に手を置く。
「なんやねん、気色悪いのぉ……」
 不満顔で口を尖らせ、その手を払った。
「しかしそうなるとさ……」
「なに?」
 苦笑し合うケンスケとシンジ。
「シンジと綾波ってのも、順当過ぎるから無しだって思わないか?」
「なんで?」
「話題性のかけらも無いだろ?、レイちゃんならともかくさ……」
「そうだねぇ」
「別にいいじゃないか……、僕と綾波の組み合わせでも」
「お、シンジぃ?」
 急にニヤニヤとし出すケンスケ。
「爆弾発言やのぉ?」
「シンジ君、後ろだよ」
「へ?、あ、綾波!?」
「シンちゃん……」
 両手を組み合わせて目をうるうるとさせている。
 頬は桜色に染まりきって。
「あ、いや、今のは、その!」
 その綾波の向こう側には。
「…………」
 絶対零度でシンジを睨む、レイの殺意のこもった瞳があった。



続く




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