「なに?」
始まりは某ラーメン屋でのことだった。
目の前に出されたどんぶりの中、白い物に包まれたものが浮かべられていた。
「これは、なに?」
「なにって」
困惑。
「ワンタン……、だろ?」
「ワンタン?」
「うん……」
「ワンタン、これが?」
「おいしいよ?」
っと口にする綾波レイに、少女はポツリと呟いた。
「……違う」
「違う?」
「これはワンタンではないわ」
「「は?」」
ユニゾンするレイとシンジだ。
「ワンタンじゃないって……」
「見事にワンタンメンだけど」
「でも違う、だってこれには」
お箸で持ち上げる。
「中に、お肉が入っているもの」
ぽかんと……
シンジとレイの二人には、妹の言葉の意味が分からなかった。
「わらっちゃ、悪いわ、笑っちゃ」
「そやかて、委員長かて涙目や無いか」
「う〜ん、レイちゃんは肉が嫌いだからねぇ」
「でもどうしてそんな勘違いをしたんだ?」
「ほら、エー○コックのワンタンメンってさ、肉入ってないじゃないか」
「入ってなかったっけ?」
「ちょっとだけ入ってたんじゃなかったか?」
「だからそうだって思ってたみたい」
みんなが笑う中央で、レイはぷっと頬を膨らませていた。
「まあ、レイちゃんもお肉食べられるようにならないと、ね」
「でもお姉ちゃん」
「「「「お姉ちゃん!?」」」」
シンジ以外の一同に動揺と驚愕が駆け抜けた。
「シンジ、どうしたんだよこの二人!?」
「碇がシンジがらみの女に懐いとおる」
「ちょっと信じられない」
「何かあったのかい?」
「ちょっとね」
シンジはそう笑って、仲の良い二人の妹に優し過ぎる目を向けた。
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