『わたしと一つになりましょう?』
声が聞こえた。
『それはとてもとても気持ちの好い事だから』
迫って来るのは、アスカと綾波だった。
二人とも裸で、見覚えのある胸が揺れていた。
見覚えのある……
見覚え……
そうだ。
僕は確かに見た。
綾波の部屋で。
アスカの部屋で。
僕が望めば、二人は受け入れてくれるんだろうか?
……答えは、わかってる。
きっと受け入れてくれる、そしてどちらかに嫌われてしまう。
そんなのは嫌なんだよ、もう……
誰かを失うなんて、堪えられない。
だから、僕は待ってるのかもしれない。
二人が好きな人を見つけるのを。
だから、僕は待ってたのかもしれない。
二人とはただの友達になることを。
そうすれば、いつまでも友達のままでいられるから。
距離を保っていられるから。
遠ざかる必要は無くなるから、近付くことは許されなくなるから。
……最低だ、僕って。
そう気が付いた時、夢から覚めた。
重い足を引きずって学校へ向かう。
夢の内容がのしかかってくる。
今の僕ってなんだろう?
アスカ達にとってなんなんだろう?
僕は、使徒を倒してた、自分を守ってくれるから、それが好きになってくれた理由。
そんなのに気付けないほど、鈍くは無いよ。
じゃあ今は?
頼りにされるほど、僕に何があるって言うんだろう……
何もできない、何もしてあげられない。
それどころか、鬱陶しいって逃げ回って…
鬱陶しい?
誰がだよ?
あの二人が!?
どうしてそんなこと言えるんだよ?
どの口で、僕が!
アスカも綾波も、とても優しくしてくれてるのに…
かまってくれているのに。
僕が二人に何をした?
ただ自分が甘えられればって…
勝手な事をしてただけじゃないか!
マナの時もそうだ。
僕は後味の悪さが恐くて動いただけで…
それを喜ばれても仕方が無いじゃないか!
僕はマナに幸せになってもらいたかった?
本当に!?
……自分の気持ちが思い出せない。
あの時、僕は何を考えていたんだろう?
世界は平和になった?
チルドレンとしての僕は必要ないのかもしれない。
じゃあどうなるんだ?
僕に何が出来るんだ?
……なにもないじゃないか。
だからなのかな……
カヲル君が僕の側から離れて、何かを探すようになったのは。
僕は……、僕はいらない子供なのか?
やっぱり、ここでも。
そんなことはない。
そんなことはないって思いたかった、でも……
そんなことを考えちゃ、いけなかった……
僕の悪い予感は、いつも酷く、当たるから……
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