その日、アスカは不可思議な夢を見た。
洋上での出会いから始まる、ネルフでの生活の全てであった。
(やめて……)
アスカは身悶えをした。
(お願い!)
光を受けて、アスカは弾けた。
心の中をまさぐる腕。
それは使徒の攻撃だった。
『あんたが!』
壊れて行く自分がシンジを罵倒していた。
(お願いだから、シンジを苛めないで!)
だがやめない。
アスカはやめない。
『なんであんたがそこに居るのよ!』
アスカは泣いていた。
かつてのままのアスカが喚いていた。
『返して、返してよ!』
奪っていった全てのものを。
『返してよぉ!』
ザァン!
波打つ音が聞こえた。
目を開く。
真っ赤な空。
そして……
(シンジ?)
手が首にかかる。
息が詰まる。
アスカは知っていた。
この後、自分が何を言うのか。
『気持ち悪い……』
アスカはシンジを拒絶した。
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