放課後の屋上。
居並ぶ二人を見上げるのはレイであった。
いつか、同じように、その時にはシンジが見上げていた。
今は自分がこうしている……
「レイぃ、シンジ居たぁ?」
疲れ切って帰って来たマナに振り返る。
「ええ……」
「うそっ、どこ!?」
何故嘘だと言いながら居場所を聞くのか?
その言葉の成り立ちに小首を傾げながらも、レイは屋上を指差した。
「あーっ、アスカ!」
憤慨するマナ。
「何のんびりしてるのよ!」
もうっと駆け出していくマナに目を向けながらもレイは動かなかった。
再びシンジを見上げる。
いや、アスカを、だ。
首を傾げる。
おかしかった。
普段なら危機感を感じる。
理由はすぐに分かった。
アスカとシンジの距離がおかしいのだ。
シンジの側に居たいながらも、気恥ずかしさから距離を取る。
それがあの二人のスタンスのはずだった。
なのに今のあの二人は……
(まるで)
以前の、出会った頃の自分達そのものでは無かろうか?
意識を向け合っている、興味も持ち合っているのに……
触れ合おうとしない。
だがシンジはともかくとして、なぜアスカがそうなってしまうのか?
レイには答えが見つからなかった。
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